ノーベル医学生理学賞はHIVとHPVの発見者に

夕方のニュースではノーベル物理学賞が日本人三氏に贈られたとのこと。

私は生物学畑なので、今日のお題はこちら。なんだかHIV+HPVで合わせ技で一本、みたいなノーベル賞です。毎日新聞より。

ノーベル医学生理学賞
エイズウイルス発見の2博士らに

 スウェーデンカロリンスカ研究所は6日、08年のノーベル医学生理学賞を、独がんリサーチセンターのハラルド・ツア・ハウゼン名誉教授(72)と、仏パスツール研究所のフランソワーズ・バレシヌシ教授(61)、仏パリ大のリュック・モンタニエ名誉教授(76)に授与すると発表した。授賞理由は、ツア・ハウゼン氏が「子宮頸(けい)がんを引き起こすヒトパピローマウイルスの発見」。バレシヌシとモンタニエ両氏は「ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の発見」。この2種類のウイルスは性交渉が原因で感染が広がる。ウイルスの発見で病気の理解が深まり、治療法の開発につながったと評価した。

 授賞式は12月10日にストックホルムで開かれる。賞金1000万スウェーデンクローナ(約1億4000万円)のうち、半分をツアハウゼン氏、残りをバレシヌシ氏らが等分する。

 ツア・ハウゼン氏は、83年に子宮頸がんの患者からヒトパピローマウイルスのDNAを発見、そのウイルスの遺伝子を複製した。これが、感染を防ぐためのワクチン開発につながった。子宮頸がんと診断された大半からパピローマウイルスが見つかり、毎年50万人が感染している。

 バレシヌシ、モンタニエ両氏は83年、後天性免疫不全症候群エイズ)の患者から原因となるウイルス(HIV)を発見。HIVにより発症したエイズが原因でこれまでに約2500万人が死亡した。両博士の発見で、ヒトのリンパ球の機能が弱まる仕組みが分かり、ワクチン開発の道が開かれた。世界保健機関によると、HIV感染者は3320万人(07年末現在)に上っている。【河内敏康】

 ◇HIV「最初の発見者」論争、米仏で6年以上

 HIVの発見を巡っては、モンタニエ氏らと、米国のロバート・ギャロ氏が共に「最初の発見者」と主張し、論争を繰り広げた。

 モンタニエ氏らは、エイズ患者から初めてウイルスを分離、「LAV」と命名して83年に発表した。一方、ギャロ氏はその翌年、別のウイルス名で「エイズの原因ウイルスを発見した」と発表した。論争は米仏両国を巻き込んで6年以上続いたが、遺伝子分析などで両者がほとんど同じと判明。このウイルスは後にHIV命名され、モンタニエ氏に軍配が上がった。

 松下修三・熊本大教授(感染免疫学)は 「ギャロ氏はHIVの大量培養法や検査キットなどを開発し、治療薬の開発につなげた。ノーベル賞は最初のウイルス分離を重視しモンタニエ氏らに贈られたが、病気克服への貢献という意味では両者の果たした役割は同じ程度に大きい」と語った。【西川拓】

HPVの方はオーストラリアでIan Frazerによって効果的なワクチンが開発され、各国で実用化されている(日本では治検段階とか)。ただ、一旦子宮頸がんを発症すると、日本では外科手術が治療の中心とのこと。転移もしやすいようなので重症化すると予後は良くない。ZARD坂井泉水さんも、これが元で入院していました。日本ではHIVほど有名ではありませんが、少なからぬ人が感染している重要な病原体です。

HIVの発見は最初から波乱含みだったのは記事にもある通り。HIVの方は、症状を押さえ込む薬物療法がどんどん進歩してはいるものの、完全に進行をおさえるのはまだ難しい。
免疫担当細胞が攻撃されるので手術でどうにかなるというものではないし予防に役立つワクチンの開発もまだです。
いずれも厄介な病気ですが、完全に克服する医薬品が開発されれば、再びのノーベル賞ものでしょう。

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