英国の有力紙、The guardianに見事なまでに愚劣な論説が掲載されている。一読あれ。
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2008/jun/06/maths.alevels

筆者Mr. Simon Jenkinsは数学は時間の無駄遣いだと主張。16歳まで高等数学を学んだとのこと。記事の表題は”Maths? I breakfasted on quadratic equations, but it was a waste of time”(数学?二次方程式を解きながら朝飯を食べたけど、時間の無駄だったね。)とある。高校生が解く二次方程式を高等数学と言うかどうかを論じる気は無いが、数学を時間の無駄と切って捨てる姿勢はいただけない。

数学を否定すれば、統計学も否定せざるを得ない。ノイズとシグナルの区別もつかないので、誤差なのか有意な違いなのか区別できないという恐ろしい事態になる。数学を科学を否定するのは、それを強力なツールとしている科学全般を否定するのと変わらない。

# 工学も計量経済学も、行動科学も言語学も認めないということだね。

大英帝国産業革命の発祥の地である。しかし、同時にラッダイト運動の発祥の地でもあることを思い出さずにはいられない。

ちなみに、この論説には自由にコメントが書き込めるようになっており、概ね否定的なコメントが寄せられているところに若干の救いを感じる。一方、ジャーナリストがしばしば歪んだリスク報道をしがちなのか理解する鍵がここにある・・・のかもしれない。

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