この時期、季節性のインフルエンザはそろそろ影を潜める頃なのだが、新型は感染拡大中の様相。

5/17現在、阪神方面では海外渡航歴のない高校生とその家族を中心に55人の感染が確認された。まだ潜伏期間にある潜在的な患者も想定されるので、この地域でもまだ感染者は増える可能性が高い。

それにしても、最初に新型インフルエンザへの感染が確認された高校生のケースを新型と疑った医師はGJ!でした。その影には、単なる季節性のインフルエンザと診断した他の医師も居るのかも知れないが。読売新聞より。

新型インフル感染、国内すでに1千人規模か…感染研センター長

 【ジュネーブ金子亨、高田真之】国立感染症研究所の田代真人インフルエンザウイルス研究センター長は17日、滞在先のジュネーブで記者団に対し、日本国内で新型インフルエンザの感染が確認されたことについて、「(感染者数は)すでに1000人レベルを超えた可能性がある」と述べた。

 田代氏は、新型インフルエンザの警戒レベル引き上げの是非を世界保健機関(WHO)事務局長に提言する緊急委員会の委員。感染は北米地域で広く確認されており、レベルを現行の「フェーズ5」から世界的大流行(パンデミック)を意味する「6」に引き上げるには、北米以外で感染が継続していることが要件になる。

 田代氏は「(今後の日本の状況が)フェーズ6に引き上げる判断材料になる可能性があり、WHOは注視している」と指摘した。

(2009年5月17日21時47分  読売新聞)

病院で診断される感染例を一種の”サンプリング”だと考えれば、母集団の規模は今、こうしている間にも拡大している可能性はある。・・・あるというよりも、高いといった方が良いだろう。

ところで、厚労大臣はまだ記者会見で感染例を発表しているのだろうか?そろそろ、”感染例の確認された地域が増えたら公表する”というスタンスをとる方が良いように思う。また水際対策は、国内感染の水準がどこまで上がれば中止する判断をするのか。

国内での感染拡大の阻止には、一般の病院の協力も欠かせない。群馬県の取組みが素晴らしい。産経ニュースより。

群馬県が「発熱外来」医師らを嘱託職員に

2009.5.9 02:26


 新型インフルエンザの国内発生が確認された場合、県内で診断に対応する「発熱外来」の設置準備が難航している問題で、県が8日までに、診断にあたる医師らを嘱託職員として採用し、感染が発生すれば、公務員が対象の補償制度を活用する方針を決め、関係機関との調整を進めていることが分かった。交渉難航の要因だった補償制度に一定のめどがついたことで、設置準備も進展の様相をみせている。

 県によると、嘱託職員は公務で負傷するなどした場合、療養や休業補償などが盛り込まれた「公務災害補償」の対象となる。県では、医師や看護師など発熱外来のスタッフを嘱託職員とする方向で、医師会などと協議。報酬や勤務時間について、最終調整している。

 県は当初、医療スタッフの補償について、国による補償制度の創設を前提に交渉を進めてきたが、具体的な方向性を示すことができず、協議が難航。今月1日から、県が補償を検討する意向を関係機関に伝えたという。

 その結果、各地域で交渉が進展をみせ、1日時点で発熱外来の設置準備が完了していたのは3カ所だけだったのが、6日までに15カ所で完了した。

 ただ、県は県内で医療を分担する10地域の「二次医療圏」で、合計36カ所の発熱外来を設置する計画だったが、現状で準備が完了しているのは半分にも満たないのが現実。国内での感染事例の発生が現実味を帯びるなか、対応が急がれている。

 県保健予防課は「県による補償を示せたことで、設置準備の協議が進んだのは事実。ただ、国による補償制度創設については、今後も強く要望を続けていきたい」としている。

医師や病院のスタッフが感染した場合、今の行動指針だと治療行為に当たれなくなってしまうのではないか?であるとすれば、何の保障も得られない前面休診に追い込まれるよりは当面は診療拒否で凌いで、診療拒否は医師法違反だと脅されても告発されなければ病院にとって実害はない、という判断も現実的な選択肢になってしまう。治療にあたる医療スタッフに対する保障は発熱外来を維持するためにも重要だ。・・・こういう目的で”基金”を作ろうというセンスはないのかな。補正予算ではいろいろやっているようだが。

群馬県はこのほかにも子供の医療費を県が負担する取組みなど、医療方面では優れた施策を行なっている。スタッフが優秀なのか知事が優秀なのか、いずれにしてもすばらしい英断だ。

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