このところ旅行、出張が多かったので移動中に海堂 尊さんの三部作が読めた。

  1. チーム・バチスタの栄光
  2. ナイチンゲールの沈黙
  3. ジェネラル・ルージュの凱旋

テンポの良い文章、ストーリーの展開も面白い。読んで得したという感じ。
タイトルの規則性が、”長めのカタカナ+漢字”という組合せなのだが、こういうパターンだとそのうちタイトルを自動生成する”海堂 尊・タイトルメーカー”というソフトができるかもしれない。たとえば、こんなタイトルをランダムに生成する。

  • ピンク・フロイドの転落 (何をやってしまったんでしょうか)
  • エリシア・クロロティカの剽窃 (多分、葉緑体
  • カンナビノイドの誘惑 (大麻はいけません)
  • オピオイド・レセプターの遮断 (麻酔が効きません)
  • フロアマネージャーの衝撃 (クレーマーでしょうか)
  • ランダム・タイトルの生成 (ランダムと言うにはまとまりすぎ)
  • エビガロカテキン・ガレートの超克 (・・・緑茶?)
  • ポケモンマスターの背信 (子供の夢を踏みにじってはいけません)
  • マイクロ・ピペットの校正 (時にはやっておきましょう)
  • キッチン・タイマーの故障 (よりによってこんな時に。電気泳動流れすぎ)
  • エスタン・ブロッティングの失敗 (うっ)

ろくなストーリー展開は望めなさそうだ。

気を取り直して本日のニュース。読売新聞より。

新型インフル、1957年以前に生まれた人は免疫あり?

 【ワシントン=山田哲朗】米疾病対策センターCDC)は20日の記者会見で、新型インフルエンザに対する自然免疫が1957年以前に生まれた中高年層に、存在する可能性を明らかにした。

CDCのダニエル・ジャーニガン博士によると、新型インフルエンザは、普通の季節性インフルエンザと違い、若年層の入院が多い。患者の血液分析の結果、高齢者で新型インフルエンザに対する抵抗性が示唆されたという。

 1918年に大流行を起こしたH1N1型のスペイン風邪は、57年にH2N2型のアジア風邪にとってかわられた。このため、57年以前に、スペイン風邪のウイルスが変異したH1N1型のインフルエンザにさらされた経験を持つ高齢者は、やはりH1N1型の現在の新型インフルエンザに有効な免疫を獲得した可能性があるという。

(2009年5月21日13時49分  読売新聞)
えーと、免疫記憶って基本的に病原体に感染したことのある人にしか存在しないので、一定年齢以上の人の中には、今回の”新型”とよく似たウイルスにかつて感染したことがある人が一部に居るとしても、”1957年以前に生まれた人は免疫あり?”という言い回しは、その年齢階層の人々が皆、免疫を持っているかのような印象を与えるので不適切だ。

インフルエンザウイルスのゲノムRNA塩基配列データが集中的に集められるようになってから、おそらくまだ10数年しか経っていない。それ以前にどんなウイルス株が存在していたのかは正確なところは誰も知らない。

一方、ヒトがブタを家畜化して濃厚に接触するようになってから8,000年ほど経つ。その間に、インフルエンザ・ウイルスのヒト-ブタ感染は何度もあっただろし、それからヒト-ヒト感染に発展したことも当然何度もあったに違いない。そういう意味では、昨今の”新型”インフルエンザウイルスは、タイプとしてはヒト集団に長く根付いているウイルスよりは稀、というだけのことで、決して新しく発生したこれまで見られたことのないウイルスではないだろう。

上記の記事で紹介された事実の断片は、その一端を示しているのかもしれない。分析方法が発達したおかげで新型であることが分かるようになったと、いうだけのことならば、弱毒性のインフルエンザ・ウイルスに対してちょっとばかり騒ぎすぎのように思う。

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本日21時現在の新型インフルエンザ感染例は291名(成田検疫の4名を含む)。5/16のヒト-ヒト感染国内初確認から6日目。(本日のニュースソースは日本経済新聞)

感染というイベントが確認されたのは291名だが、インフルエンザは持続感染しない(・・・つまり治る)。体力がある人なら10日もすれば患者とはいえない状態になるので、感染イベントだけカウントしていても今現在の患者数は把握できない。感染事例だけ数えていると、患者数が増える一方のように見えるので、感染拡大の勢いを測るには”前日比何人増”という差分を取った方が、直近の流行の状況が分かりやすいだろう。・・・新聞社にそんなことを期待しても駄目だろうなぁ。

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