ニュース映像で海外の新型インフルエンザワクチン接種の様子を見ていて気づいたこと

  1. プレフィルドシリンジ製剤(あらかじめ注射器に充填された状態で流通している製品)
  2. 鼻スプレー式ワクチン(フルーミスト(Flumist))

 1.はヨーロッパ製のワクチンで採用されている方式。日本でも製剤自体はあるのだがインフルエンザワクチンには採用されていない。利点としては、日本で主流の、凍結乾燥ワクチンが入ったバイアルに蒸留水を入れて溶かす方式の場合に起こりうる細菌汚染のリスクをさけることができる点や、バイアルから注射器にワクチンを吸引する際のロスを減らせるので、ワクチン生産量に余裕がない場合に有利、注射器一本ずつに表示があるので取り違えがおきにくい等が考えられる。

 また、防腐剤が入っていないというのも、妊婦さんなどには受け入れられやすいかもしれない(その判断の科学的根拠はあやしいのだが)。

 2.はアメリカのメドイミューン社(現、英国アストラゼネカの傘下)で製造されているもので、弱毒化した生きたウイルス(遺伝子組換え等)を鼻の粘膜に感染させてしまうもの。これは、接種の際に注射器が要らないので子供でも抵抗がない、ウイルス粒子全体のタンパク質に対する免疫が誘導される、などメリットも多いのだが、使用できる年齢層が限られている(5-49歳)、二次感染性が懸念されるなどがデメリット。

 ちなみに、こちらの病院では昨年の時点で日本国内で未承認のFlumistを接種していたようだ。使用しているウイルス株がリアソータントであればカルタヘナ法に違反しないが、もし仮にリバース・ジェネティックスで製造したウイルス株を使用している場合には問題になる可能性が懸念される。

 なお、アメリカでリバース・ジェネティックスで製造したウイルス株を使用したFlumistを接種した人が感染性二次粒子をばらまきながら日本に入国するケースもあり得るのだが、その場合はLMOの輸入にあたらない(カルタヘナ議定書でそうなっている)。・・・入国後はどういうあつかいになるのかは、わからない。
# どうなんだろ?厚生労働省の中のヒト

人気blogランキングへ←クリックしていただけますと筆者が喜びます!