CIMG0500  つくばセンター近くの赤松の根方に群生しているハマウツボらしき植物。 たいていはもっと濃い紫色の花色なのだが、この周辺に生えていたものは皆淡いピンク色だった。古いからかな? それに花穂の密度も低いので他の植物かもしれない。いずれにしても、 おそらくは赤松の根方の砂と一緒にどこからか運ばれてきたのかもしれない・・・とおもったら、これはヤセウツボというらしい。 なんだかNHK大河ドラマに出てくる上戸彩みたいだが。

 ヤセウツボはハマウツボ科ハマウツボ属の寄生植物で学名はOrobanche minorシロツメクサなどマメ科牧草の根に寄生する”侵入種”で国立環境研究所のホームページでも紹介されている困り者である。一方、ハマウツボ環境省レッドリストには載っていないものの北海道、福島県高知県では絶滅種あるいは絶滅危惧種に指定されているとのこと。

 寄生植物は形態や生態が特異なことも手伝って、他のどの植物と近縁なのか推定しがたいことも多々ある。ハマウツボの場合もそれで独立した科になっているのかもしれないが、近縁の種にはオニクやナンバンギセルがある。

 これを仮に除草剤で駆除しようとしても、多くの選択性除草剤は駆除対象となるそれぞれの植物種の代謝経路に依存する場合が多いので、寄生植物のように個性的な代謝経路を持っている(あるいは当然あるべき代謝経路がない)と推定される場合には、既存の除草剤は効かないかもしれない。少なくとも、この植物には光合成装置を標的とする除草剤は効かない公算が高い。もっとも寄生植物なので宿主のマメ科牧草ごと駆除して、牧草だけ後でまき直せばよいのだが。

 寄生植物の分類といえば、分子生物学的手法で寄生植物ラフレシアRafflesia)のmtDNAを手がかりに系統分類をやり直したという 論文が2004年に出されている。たしか、スミレに比較的近い分類群になるという結論だったと思う。また、 PubMedで検索すると、2004年には 他にもラフレシアの系統分化に関する論文が出されていて、Rafflesialesは単系的ではない、つまり複数の起源を持つ植物種を一纏めにしてしまっていると結論している。素人にとっては、まあ、どっちでもいいのだが、そういった研究で飯が食えるというのは実にうらやましい限りである。