さて、総務省が行った松下のPLC機器の型式認可に対して、認可取り消しの行政訴訟が起こされる見込みだ原告団は115名とのことだが、人数が多ければ裁判に勝てるというものでもないので、社会的なインパクトを狙ったものか、負けた場合の訴訟費用のリスクヘッジなのか、その意図が良く分からない。

 訴状を見ていないので、争点が何なのか良く分からないところではあるが、上記のニュースによると


PLCの電波漏洩がアマチュア無線を妨害する恐れが極めて高いと主張。また、妨害の恐れはアマチュア無線だけでなく電波天文や短波ラジオなどにも及ぶとし、現状の技術ではPLC機器の製造・
販売を禁ずる以外にアマチュア無線などの通信環境を維持する方法はないとしている。

とのこと。だとしたら、

1. 総務省の行ったPLCを実施可能にする規制緩和に関わる専門家の審議プロセスにおいて科学的・技術的な側面から瑕疵がなかったかどうか、

2. また答申を受けた総務省が行った、PLCを実施可能にする規制緩和に関わる意思決定のプロセスにおいて、社会的なリスク・ベネフィットのバランスのとり方に著しい偏りが無かったかどうか

が、争点になるべきではないのだろうかね。松下のPLC機器に対する認可は×で、
同じ方式のIOデータは○というようにも見える提訴の仕方は、何を求めているのか良く分からない。

 また、


原告では、こうしたPLCへの懸念はアマチュア無線家だけではないと主張。厚生労働省でも、医療機器とPLC機器を併用した際の安全対策措に対してPLC機器の購入者へ周知するようにとの行政指導を総務省へ求めたという経緯を説明。
また、イーサネット無線LANという屋内のネットワーク配線技術が確立されている現状、
PLCを解禁する必要性や必然性がないともしている。

というが、厚労省も危険だから禁止すべきというスタンスではない訳で、これは携帯電話を医療機器の近くで使うと、医療機器が誤動作するリスクがあるというのと大差ない。では、携帯電話の型式認可を認めるべきではない、という行政訴訟が成り立つだろうか?
大いに疑問だ。

 また、必要性や必然性が無いものは、何であれ原則として政府が規制するべきだろうかか?この原告段の方々は、何であれ原則は政府が規制するべきものであって、必要性や必然性があるものだけを例外として許可するべき、と判断しているように見えるのだが。私はそんな息苦しい社会は真っ平だ。