公務員制度の総合的な改革に関する懇談会の答申案

読売新聞より。


内閣人事庁」「国家戦略スタッフ」を新設、改革懇が提言

 福田首相の私的懇談会「公務員制度の総合的な改革に関する懇談会」(座長=岡村正・東芝会長)は10日午前、
首相官邸で会合を開き、今月中に首相に提出する答申の原案を示した。

 〈1〉公務員の給与管理、採用試験、研修、評価基準作成などを行う、閣僚を長とする「内閣人事庁」を内閣に新設〈2〉
首相直属の次官級専門職「国家戦略スタッフ」の新設〈3〉国会対応の窓口となる「政務専門職」を置き、
それ以外の公務員と国会議員の接触を原則禁止――などが柱となっている。

 省庁縦割りの人事制度を改めるため、本省管理職以上の人事は内閣人事庁が一元的に担う仕組みとする。
管理職の半数は幹部候補として採用される「総合職」から任用するが、残りは中途採用者や「一般職」からも登用し、
国家公務員採用1種試験での採用者がほぼ自動的に幹部に登用される「キャリア制度」を改める。

 また、「守秘義務違反の捜査や誤報に関する罰則の強化」を明記した。具体的には「内外社会の多様化複雑化に伴い、
守秘義務の重要性は増すが、わが国では『リーク(情報漏えい)された』というだけで情報流出源を捜査することが少ない」
との認識を示した。その上で、リークが「時には誤った印象を与え、特定の者に重大な不利益や社会生活上偏見を与えている」として、
公務員の守秘義務違反に関する特別調査部局を内閣人事庁に設置し、場合によっては「厳格な処罰を加える」としている。

 会合では、公務員の国会議員との接触禁止に関し、「国会議員が知りたいのは役所の担当者の生の話だ。それを禁止して(政治・
行政が)機能するのか」との慎重論も出たが、それ以外には、原案に対する目立った異論はなかった。
懇談会は22日に答申を決定する方針だ。

(2008年1月10日12時46分  読売新聞)

えーと、これが実現すると、先生のところへ質問取りに行ったり、
勉強会にご説明に上がったりしなくても良くなる訳でしょうかね。それとも、国会対応と言うからには政務専門職が質問取りに行く?
伝言ゲームをしている内に訳がわからないことにならなければよいのですが。でも、これって、
一方ではシンクタンクとしての役所の機能を野党から取り上げるという事でもあるのだな。与党の狙いなんでしょうか。

一方、政官分離で議員立法オンリーになった場合、
既存の法令との整合性のチェックは誰が担うんだろう?また議員立法でありがちな、○○基本法のように、
他の法令との整合性を気にする必要があまりない大雑把な法律ばかりになると、
役所でコントロールできる法律に実効性を持たせる告示や通知レベルの裁量が大きくなって、
かえって官庁のフリーハンドが大きくなるのではないかと心配。

それから、キャリアと総合職の違いがイメージできない。試験区分に一種、
二種が無くなると、おそらく一種で採りたかったけど採用枠の都合でとれなかった人も採用されるかわりに、
二種でぎりぎり採用というポジションの人には厳しい時代になる。また、
本省管理職以上の人事は内閣人事庁が一元的に担う仕組みとするそうですが、まさか官庁から推薦リストを取り寄せたりしないだろうね。
逆に全部自前で人物評価をしようとすると人事庁も責任重大。落としどころはどのへんか。それよりも、
技官と事務官の区分はどうなるんだろう?

このところの行政改革の動きを見ていると、内閣(府)
機能の強化に向かっていますが、専門店的官庁の力を削いで、百貨店的内閣府に権限を移すのも大概にしておかないと、
そのうち内閣府の機能が肥大化してコントロールが効かなくなるのではないかな。

この答申が施策に反映されるプロセスはよくわからないが、
与党内でよく揉んでいるうちに大部角が取れてしまうような気もします。今後の動向に注目。

 

人気blogランキングへ←クリックしていただけますと筆者が喜びます!