orzな話、二題

その1、職場でのこと。

広報室発行の研究所ニュースNo.28が配布された。「受賞報告」という記事がp.4にある。
学会賞などを受賞した研究者に研究の概要を紹介してもらう記事だ。

一読して驚愕した。研究内容ではない。その部分は、もっともなのものなのだが「受賞報告」なのに、何時、
何を受賞したのかがどこにも書いていない・・・orz。誰も気付かなかったのだろうか。

orz

そのうちwebでも公開されるというのに
(4月7日現在、まだアップロードされていない)。早速、広報室に教えてあげました。

研究所の広報誌なんだから、しっかりしておくれ。

 



 

その2。あー、やってしまいましたか。朝日新聞より。


神戸大、遺伝子組み換え菌を実験室外の廊下で培養 

2008年04月04日


 神戸大は4日、神戸市中央区楠町7丁目の大学院医学研究科で、
がんの原因研究などのため遺伝子を組み換えた大腸菌を数カ月間、菌を隔離できる実験室ではなく、外の廊下で培養していたと発表した。
大学側は大腸菌は人体に無害で、流出もなかったとしている。3月17日に文部科学省に匿名で「廊下で実験をしている」
という内容の電話があり、発覚した。

 神戸大によると、同科の50代の男性教授が、遺伝子を組み換えた大腸菌を培養する装置を室外の廊下に置いて実験していた。
教授は「実験室が狭かったので外に出した」と話しているという。

 実験用の遺伝子組み換え生物については、法律で拡散防止措置を取らなければならないと定められている。文部科学省生命倫理
安全対策室は法律違反の疑いもあるとしている。

これ、第二種使用等なのか、第一種使用等なのかで対応が分かれるところ。
廊下であっても建物の内部であれば第二種使用等とみなせるのでしょうが、拡散防止措置は実験室(建物)を単位としていますので、
廊下として使用している部分でP1の拡散防止措置を執るのは難しいでしょう。


研究開発二種省令別表1の一「 イ 施設等について、実験室が、
通常の生物の実験室としての構造及び設備を有すること。」

研究開発二種省令別表1の一「ロ(9) 実験の内容を知らない者が、
みだりに実験室に立ち入らないための措置を講ずること。

・・・さて廊下は「通常の生物の実験室としての構造及び設備を有する」?あるいは、「実験の内容を知らない者が、
みだりに実験室に立ち入らないための措置」を講じるている?

「廊下」が構造上は「細長い実験室」になっているとか、廊下自体の入口がカードキーなどで立入制限があって、
実験内容を知らない人が入れない様になっているということが無い限り、廊下でP1の拡散防止措置をとることは通常はできません。
(実験棟自体が、日本家屋のように部屋から部屋へ直接行き来する構造になっていて、たまたま細長い部屋を廊下様に使っている、
と言う場合であって、実験区画の立入制限ができるのであればP1の拡散防止措置が執れるかも知れませんが。)

「実験室が狭かったので外に出した」というのは分からなくはないです。
たしかにインキュベーターを廊下に置くこと自体は違法じゃありません。しかし、そこで組換え生物を培養しちゃいけません。
かつてはたしかにそんな光景を見ましたが、今時それはないでしょう。

なお、保管に関する拡散防止措置は二種省令では次の通り。


  
(保管に当たって執るべき拡散防止措置)
第六条 研究開発等に係る遺伝子組換え生物等の第二種使用等のうち、
保管 (遺伝子組換え実験又は細胞融合実験の過程において行われる保管を除く。)に当たって執るべき拡散防止措置は、
次に定めるとおりとする(施行規則第十六条第一号、 第二号及び第四号に掲げる場合並びに虚偽の情報の提供を受けていたために、
第二種使用等に当たって執るべき拡散防止措置を執らないで第二種使用等をする場合を除く。)。

 一 遺伝子組換え生物等が漏出、逃亡その他拡散しない構造の容器に入れ、かつ、当該容器の見やすい箇所に、
遺伝子組換え生物等である旨を表示すること。

 二 前号の遺伝子組換え生物等を入れた容器は、所定の場所に保管するものとし、
保管場所が冷蔵庫その他の保管のための設備である場合には、当該設備の見やすい箇所に、
遺伝子組換え生物等を保管している旨を表示すること。

これは、保管の場合の拡散防止措置(第六条)は、二種省令の実験中の拡散防止措置を定めた第五条とは別扱いで、
実験室でなくてはいけないと言う規程にはなっていません。”容器に入れる”、”LMOである表示をする”、”所定の場所に置く”
の3点が確保できればOKですので、たとえば廊下にディープフリーザーを置いてライブラリを保管していてもカルタヘナ法上は問題ありません。

ただし、廊下が火災の際の避難経路である場合には、
避難の支障になるようなものを設置すると消防法違反にあたる疑いがあります。

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