「肯定しない」ことと「否定する」ことは違う。

変な記事だ。

日本、北欧から鯨肉輸入? 水産庁は「確認していない」

2008年06月04日06時55分


 【ロンドン=土佐茂生】商業捕鯨を続けるアイスランドノルウェーの業者が日本に鯨肉を輸出していたことが3日、分かった。
2国の漁業省が、朝日新聞の取材に対し認めた。日本の鯨肉輸入が事実ならば約20年ぶりとなるが、水産庁は「確認していない」
と否定している。

 ノルウェー漁業省は「2業者がミンククジラの肉約5トンを日本に輸出、2週間前に到着したと把握している。
業者は正規の許可を得ている」と説明した。同国の鯨肉業者も「5月に3500キロを輸出した」と認めたが、
価格や日本の業者名は明かさなかった。

 アイスランドの漁業省も同日、複数の業者が日本に輸出したと認めた。ただ、担当者は
「合法な商業行為なので政府は関知していない」としている。ロイター通信の報道によると、
ナガスクジラの肉が約80トン輸出されたという。

 一方、日本の水産庁は「輸入されたという情報は無い」と否定している。日本の業者が鯨肉を輸入した場合、
経済産業省が原産地を確認するなどの手続きが必要で、このため「鯨肉が輸入されると、政府は当然、把握することになる」(水産庁
という。

この場面で”水産庁は「確認していない」と否定” と言う表現はおかしい。正しくは
水産庁は「確認していない」と回答”
と言うべき。水産庁として責任の持てる範囲では「事実確認できていない」
といううだけの回答なので、ノルウェーの業者が日本向けに輸出したことを公式に否定している訳ではない
水産庁ノルウェーの業者の発言を否定できる立場ではないのだから。

また、朝日新聞社は”日本の業者が鯨肉を輸入した場合、経済産業省が原産地を確認するなどの手続きが必要”
というのが分かっているのなら、輸入の有無は経済産業省に確認するべきではないのかね?なぜ記者は意図的に取材しなかったのだろう。
もし取材したのなら、その結果得られた情報を隠蔽するべきではない。

なんだか水産庁には、輸入品に関する情報が間接的にしか入らないことを知った上で、
水産庁の印象をわざわざ悪くしようとしているような記事だ。ロジックがあさはかで読んでいて不愉快。


ナガスクジラはワシントン条約(CITES)の付属書Iに記載された絶滅危惧種
。商業取引は原則禁止で、
輸入にあたっては経済産業大臣の発行する輸入承認証が必要。しかも、野生から取得したものについては学術研究目的以外では輸入承認証は発行されない

ミンククジラは西グリーンランドの個体群のみ付属書IIに記載なので、事前確認の上輸入できる。
それ以外の個体群はナガスクジラと同様。

これが輸入できるのであれば、
付属書Iに記載されたこれらの生物の資源量に関する日本の科学的なスタンスを明らかにしておかなくてはならないはず。
どうなっているのだろうか?正規の手続きで輸入できるのであれば、なにか仕掛けがあるはずだ。普通なら、
仮に輸入されていても禁輸品の密輸にあたるように思うが。

いずれも、国際貿易に関わる事項であって経済産業省が所管するため、
水産庁に照会すること自体間違い水産庁の担当者も、「確認していない」という回答ではなく、
「ご照会の件については経産省が所掌している事務なので回答できない」と言うのが責任ある回答ではないだろうか。

記者も何をやってるんだか。

ソースに近い記事はこちら。


アイスランドノルウェーが日本への鯨肉輸出を再開

【6月3日 AFP】
アイスランドノルウェーが日本への鯨肉輸出を18年ぶりに再開したことを両国の業界代表が明らかにした。



 アイスランドのミンククジラ捕鯨業者協会のGunnar
Bergmann Jonsson
会長によると、
日本向けの鯨肉80トンを積んだ船が2週間ほど前にアイスランドを出航しており、すでに日本に到着していているはずだという。




 1990年を最後にアイスランドの日本向け鯨肉輸出は停止していたが、Jonsson会長は、
2006年に日本政府から鯨肉輸出許可を得ていると明かした。



 日本は世界最大の鯨肉市場だが、北欧産水産物に含まれる水銀やダイオキシンに対する懸念から、日本市場への需要はこれまでなかった。




 しかし、ノルウェー漁業省職員によれば、これまでの鯨肉の輸出先はアイスランドおよびフェロー諸島のみだったが、
今年から日本にも鯨肉を輸出していることを明らかにした。しかし、日本がノルウェー産鯨肉を受けいれるようになった経緯については
「日本側に聞いてほしい」とかわした。



 ノルウェーアイスランド両国は1986年に発効した国際捕鯨委員会International
Whaling Commission
IWC
商業捕鯨モラトリウムをうけ、商業捕鯨を中止していた。しかし、ノルウェーが1993年に商業捕鯨を再開、
アイスランドも2006年にこれに続いた。現在、商業捕鯨を行っているのは世界でこの2か国のみ。(c)AFP

「会長は、2006年に日本政府から鯨肉輸出許可を得ていると明かした。」というが、これは本当だろうか?
事実関係を知りたければ経産省に確認するべきだろう。

人気blogランキングへ←クリックしていただけますと筆者が喜びます!