休漁して何が悪い?

日本経済新聞より。


水産庁、休漁問題で漁業団体から事情聴取


 農林水産省の白須敏朗事務次官は5日の記者会見で、漁業団体が燃料価格高騰を受けて今夏に一斉休漁を検討していることについて、「現在、水産庁が関係団体から事情を聴いている」と述べ、実態把握に乗り出したことを明らかにした。水産庁は同日、大日本水産会と全国漁業協同組合連合会から事情を聴き、原油高の経営への影響には理解を示したが、休漁に対しては「国民生活に悪影響を及ぼさない点を踏まえてほしい」と要請した。

 全漁連は6日に理事会を開き、この問題を協議する方針。漁船向けの燃料価格が高騰しており、政策的な追加支援の要請も含めて議論する見通しだ。 (00:00)

 私の実家も漁業を営んでいる。事務次官は「国民生活に悪影響を及ぼさない点を踏まえてほしい」とおっしゃいますが、漁師も国民です。魚価が低迷してい状況で重油価格が高騰すると、不漁の場合は赤字操業になる。不漁でなくても収支がトントンならばできるだけ休業した方がマシ。操業すると漁具も船も使い減りするので。

 というわけで、原油価格が上がると漁師の生活には悪影響が及びまくります。
 自らの生活を守るためには、魚の市場価格が上がるまで休業するという選択もあるでしょう。なんと言っても漁師にはほとんど価格交渉力が無いのだから。

 こちらを見て欲しい。消費者が安い魚を求めた挙句、安い外国産の水産物に押されて、国産水産物自給率も50%台だ。”魚の原価”は漁師の人件費と、燃料代、そして漁船と漁具の代金。泳いでいる魚に値段は無いが、市場に届けるには元手がかかっているのだ。燃料価格の高騰に対応するには市場価格が上がらないことには消耗戦を強いられることになる。水産庁は省エネを訴えているが、どの程度収支が改善するものか。

 農林水産物の生産コストは、生産に必要なエネルギーの価格次第なのだ。食料自給率を上げると結局は直接的な原油に対する依存度が大きくなることも忘れてはならない。中小生産者には生産コストの上昇を経営努力で吸収するマージンはあまり無いのだ。

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