ブログは木のうろではない

「王様の耳はロバの耳」という床屋の叫びを彷彿させます。朝日新聞より。


司法修習生、取り調べや刑務所の様子ブログに 長崎

2008年6月19日11時40分

 長崎市で実務修習をしている20代男性の司法修習生が、自身の日記をつづったブログに取り調べや刑務所見学、 司法解剖の立ち会いの様子や感想など、修習の内容を書き込んでいたことがわかった。修習生を受け入れている長崎地裁は「書き込みが、司法修習生に関する規則が定める守秘義務違反にあたる可能性があり、調査したい」としている。

 地裁などによると、この修習生は07年から長崎市の裁判所や法律事務所、検察庁で実務修習を受けている。実習の感想や出会った法律家の人柄、周辺雑記などをブログに書き込んでいた。

 書き込みの中には、取り調べの実習の様子を記したものがあった。「はじめて取調べやりました。相手はばあちゃん。途中から説教しまくり。おばあちゃん泣きまくり」「なんで若造がばあちゃんを説教してるのか。なんとなく、権力というか、自分の力じゃない力を背後に感じた」などと被疑者の性別や年齢が明かされていた。

 また、刑務所を見学した際には「工場で作業をしている受刑者たちは、なんだかロボットのよう。何を考え生きているんだろうか」「いま自分が取り調べ中の被疑者は、刑務所出所後5日目に、また犯罪行為に出た人で、この人は刑務所でしかうまく生きていけないんじゃないかと感じた」などと、受刑者や被疑者について触れている。

 裁判所法に基づく司法修習生に関する規則は「修習にあたって知った秘密を漏らしてはならない」と定めており、地裁では修習生の行為が規則に抵触している可能性があるとして調べる。

 ブログは木のうろではありません。多くの人が目にする機会もあります。ブログに書いた内容がフィクションなら守秘義務違反にはならないんですが、被疑者個人や容疑を特定できる書きぶりであれば守秘義務違反に問われるおそれれはあります。メーリングリストも然り。

 「なんで若造がばあちゃんを説教してるのか。なんとなく、権力というか、自分の力じゃない力を背後に感じた」

 というのは、微妙な線。老女の調書をとった、と言うだけのとのことであれば容疑者には当然、老若男女が居るわけで守秘義務違反とまでは言えないはずです。むしろ、上記のような感想をもらすことが、法曹の信頼を損ねるような書きぶりであれば信用失墜行為にあたる可能性がありますが、筆者個人の身分を特定できないブログ(たとえばペンネームで書いていて、筆者を特定できない)であればそれも難しいでしょう。文書で注意くらいで済ますほかないのでは?

私のブログは実名で書いていますので(註:初出ではそうなっていた)、喩えフィクションでも内容によっては信用失墜行為に当たる可能性は常にあります。あまり馬鹿なことを書くと、「ふーん、某独法の主任研究員は、あんな阿呆でも務まるのだ」と組織の信用を穢した信用失墜行為および守秘義務違反に問われる恐れがあるので、このへんでよしておきましょう。

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