産官学共同研究の拠点として農研機構の各地のブランチには10年ほど前からオープンラボが整備されてきた。
 このたび会計検査院から利用実績が少ないと言う指摘があった模様。


産学研究施設もっと使って 農業食品産総研に検査院指摘


2008年10月2日0時28分

 産官学で利用する目的で建てられた「オープンラボ(開放型研究施設)」が産学に十分利用されていないとして、会計検査院が農産業技術などを研究、開発する独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構」(本部・茨城県つくば市)に産学との共同研究を増やすよう、指摘していたことが分かった。

 同機構などによると、99年から昨年にかけ、茨城県や北海道、広島県などに14のオープンラボを設置した。
茨城県つくば市の食品研究施設やバイオマス資源エネルギー研究施設は民間企業や大学の要請が強く、共同研究の利用件数は多いという。

 しかし、近畿中国四国農業研究センターの研究施設(香川県善通寺市)は産学との共同研究実績がゼロ。
九州沖縄農業研究センターの研究施設(福岡県筑後市)など4施設も産学の利用実績が乏しかったという。

 検査院は「積極的にPRするべきだ」と指摘。共同での利用実績が不十分な計5施設の建設費は11億円に上ったが、
十分に活用されていないと批判している。

 同機構は昨年10月、共同研究促進推進本部を設置。産学に連携を呼びかけているが、
「施設の性格によっては産学の関心が集まりにくいものもある。また、共同研究の利用数が少なくても、いい成果を出している施設はある」と話している。

 このほか、利用実績が確認できない機材が数十点あり、購入額は総額1億円になるという。

 利用実績が低いという指摘なのですが、ではこれらのオープンラボにどんな設備があるのかといえば、こちら
 各地の地域農業の状況にあわせて設置テーマが選択されています。指摘のあった「近畿中国四国農業研究センターの研究施設香川県善通寺市)」のテーマは「傾斜地農業」。私は、1991年4月から1998年9月まで、当時四国農業試験場だったその研究所で働いていた。

 「九州沖縄農業研究センターの研究施設(福岡県筑後市)」こちらは、本部が合志町にあり、そこにはオープンラボが二棟ある。だが、筑後市のブランチにオープンラボがあったという話は私は知らない。ちなみに、私は2004年3月まで九州沖縄農業研究センターの本部で働いていたのですが・・・?何かの間違い?

 ともあれ、各地のオープンラボは地域の研究テーマごとに設置されたものなので、装備されている装置もラボの設置目的にあったものが置かれている。近畿中国四国農業研究センターのオープンラボの代表的な装置は、”全自動窒素炭素同位体質量分析計”、”イオンクロマトグラフ”、”原子吸光分析装置”など、いずれ数千万はくだらない装置だが持っている大学は少なくない。

 しかし、近畿中国四国農業研究センター(生野地区)にしても九州沖縄農業研究センター(羽犬塚)にしても、交通アクセスはあまり良くない。しかも研究所の近隣に企業や大学があまりない。企業や大学が共同研究で人を派遣するとしても、足の便が悪いところにはなかなか行き難い。もっとアクセスの良い機関は探せばいくらもある。・・・となると、例えば近畿中国四国農業研究センターであれば、特に「傾斜地農業」に興味・関心がある大学や企業でなければ共同研究をしようとは考えないだろう。

 では、「傾斜地農業」に興味・関心がある大学や企業がどれほどあるかといえば・・・。共同研究が難しい、ひいてはオープンラボの利用効率が上がらないというのも無理の無い話だ。共同研究のメリットが見込めないのであれば、PRをしたくらいでどうにかなる話ではないのだが。

しかし、「農業食品産総研」って一体・・・?こんな略称は聞いたことがありません。

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