昔、父から「理由のわからないお金はもらってはいけない」と教えられた。今でも、それはもっともなことだと思う。

今般、政府は「景気対策」として国民一人あたり\12,000を支給するという。しかし、2兆円の財政出動をする施策なのに、個人に支給するため支出の使途については何の制約もない。政府がそれで一体何をしたいのかさっぱりわからない。生活支援と言う意味であれば、辞退の対象がサラリーマンであれば2,000万円以上の給与所得がある方だそうなので、線引きの水準が高すぎる。

ちなみに、日本の世帯収入の分布が厚生労働省のホームページにある(国民生活基礎調査PDFファイル)。これによると、年収2,000万円以上の世帯は、全世帯の1.4%しかいない。所得の中央値は451万円。平均値は556万8千円。

生活意識の状況では、やや苦しい(33.2%)、大変苦しい(24.0%)となっており、57%以上の世帯では生活が苦しいと感じている(資料はこちら)。生活支援という意味では、こういう世帯を対象に現在の予定の二倍の額の支援をしたほうが、まだましなのではないか?いずれにしても、景気対策としての効果のほどは分からないが。

・・・ということで、私は国民の一人として、この企画段階で有効性が十分に検証されていない施策に反対し、定額給付金の受給を拒否する権利を主張する

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一方で、わが国では近年、所得の格差が広がっているとも言われている。真偽のほどは確かめていないが、一方でこういう資料もある。出典はUNICEFの世界子供白書だ。「所得最下位40%の世帯あたりの所得の分布」という資料である。

分かりにくい表題だが、「世帯全体の中で、所得の少ない階層の40%に対して、国の所得全体の何%が配分されているか?」ということを意味する。パーセンテージが大きいほど所得配分が公平にいきわたっていることになる。この資料によれば、所得の少ない階層の世帯40%が、全所得の25%以上を得ている国は統計のある国の中では日本とチェコくらいだ。資料の見方が間違っていなければ、そして、この指標を富の配分の尺度としてよいのであれば、日本は世界中でもっとも所得格差の小さな国の一つ、と言うことになる。

にもかかわらず、一方には57%以上の世帯では生活が苦しいと感じているという状況がある。これはもう、税による富の再配分で所得格差を小さくするくらいでは、もうどうにもならないところまで来ていることを意味しているのでは無いだろうか?所得の底上げをする必要がある。

可処分所得を増やすには、

  1. 社会保険料を所得から差し引くことを止める
  2. 足りなくなる分は、消費税の増税法人税(年金の事業者負担分相当分)でまかなう

で、所得は相当に増える。おそらく5%内外は。所得税率がそのままであれば、基礎控除額が減るので所得税は若干増えるかもしれない。なにしろ、消費税は給与から天引きされない。これで計算上は可処分所得が増えるのだ。
・・・これはこれでイヤだなぁ。

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