Human rhinovirus (HRVs), 99株の全ゲノムの塩基配列が解明された。HRVsは、普通の風邪の原因ウイルス。

Ann C. Palmenberg et al., “Sequencing and Analyses of All Known Human Rhinovirus Genomes Reveals Structure and Evolution,” Science (February 12, 2009): 1165557, doi:10.1126/science.1165557. 

時事通信より。

風邪ウイルスのゲノム解読=新薬・ワクチン開発に期待−米大学など

 
風邪をもたらすヒトライノウイルス(HRV)について、血清型(セロタイプ)の違いによる99株の全遺伝情報(ゲノム)を解読し、進化系統を明らかにしたと、米国のメリーランド大やJ・クレイグ・ベンター研究所などの研究チームが13日、米科学誌サイエンス電子版に発表した。
 風邪はインフルエンザと違って軽視されがちだが、ぜんそくの一因となり、幼児や高齢者は重くなる場合もある。解読成果は、発熱やせきなどの症状を抑えるのではなく、直接退治する抗ウイルス剤やワクチンの開発に役立つと期待される。(2009/02/13-15:17)

昔から、風邪の予防薬ができればノーベル賞ものと言われてきた。しかし、これまでワクチンが作れなかったのには理由がある。今回、全ゲノムが解析されたHRVsは99株だが、実際はそれ以上ある。

変異型が多いほどワクチンは作りにくい。通常、ワクチンは抗原のタイプごとに作成する。接種の際には複数の抗原を混合することもある(3種混合予防接種など)。混合できる抗原の種類は数種類に限られているが、ウイルスのタイプはそれよりもはるかに多いのが問題だ。

HRVsではないが、最近、感染研を中心にインフルエンザウイルス株間での変異が少ないタンパク質を標的にした、いわゆる”万能ワクチン”の開発が行なわれている。HRVsでも同様の戦略がとれれば風邪の予防ワクチンも夢ではないかもしれない。

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