新しい”はだかむぎ”の品種が農研機構(近畿中国四国農業研究センタ− 大麦・はだか麦研究チ−ム)からリリースされた。

品種名は”ユメサキボシ”。平成4年リリースの”イチバンボシ”、平成13年リリースの”マンネンボシ”(デビュー当時は”マンテンボシ”だったが、後に改名)の正統を引き継ぐ期待の新星だ。
# 平成12年の”ダイシモチ”は特殊用途、平成17年の”トヨノカゼ”は、大分のご当地限定、ということで、ちょっと路線が違うか。

先日、試供品を麦飯にして炊いてみたが、炊きあがりの色が明るい。保温後の褐変も日頃食べている米粒麦(多分、ファイバースノウ)よりも少なく、麦飯特有の臭いも薄い。押し麦では、若干、粒の割れが多いかも知れない。加工プロセスを工夫すれ解決できるだろう。二条ならではの粒大は加工の自由度をあげることになる。

これまで、二条裸麦は育成系統では少なからずあったものの、品種になったのは今回が初めて。遺伝学的には、できて当然のものなのだが、色々難しい所があってこれまでなかなか実用化できなかった。

関係者の努力には敬意を払うが、”できて当然”と言うのは、条性も皮裸性も単一遺伝子支配なので伝統的な育種技術の延長で対応できるという意味だ。もっとも、収量性や品質に関してクリアしなければならない標準目標が高いので、目的とする表現型の系統を作出するには、条性を変えるだけでも六条同士の交配よりも集団の個体数を増やす必要があり、通常の育成よりも大変であることに違いはない。

二条と六条では、穂の形が違う。穂に付く花の付き方が違うためだ。しかし、作物としての収量水準はほぼ同じだ。一個体あたりの収量は二条も六条もあまり変わらない。しかし、一穂あたりの粒数は当然六条の方が多い。二条が同等の収量になるためには、粒重を重くすることと、単位面積あたりの穂数を稼ぐことで追いつくほかない。

そうなると、二条裸麦は、草型も穂数の多い現代的な二条品種に近づいてくるし、分げつ数を稼ぐためには、幼穂分化時期が長期間にわたる播き性?の方が有利だ。生態的にもビール麦に近づく。

詳しい特性データはまだネット上では入手できないが、ユメサキボシの特性はこれらの点でビール麦に近づいているはずだ。一方、従来の裸麦は低温に弱い。つくばあたりでさえ、上手く越冬できない系統があるくらいだが、ユメサキボシはどうだろ。

ユメサキボシの詳細はこちら

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