血液製剤”とは、”人の血液から作り出される「くすり=医薬品」を総称して「血液製剤」と呼びます”とのこと。

さて、田辺三菱製薬の製品、遺伝子組換え人血清アルブミン製剤「メドウェイ注5%」がニュースになっている。この製品についてのメーカー側の情報はこちら。こう書いてある。

本剤は、当社の技術により、ピキア酵母を宿主として高純度の人血清アルブミンの大量製造及び供給を可能とした製剤であり、また、製造工程においてウイルスやプリオン等の感染性物質混入のおそれがある動物由来原料を使用していない遺伝子組換え人血清アルブミン製剤です。

この製品は明らかに血液製剤ではない。ここで、朝日新聞のニュース。

血液製剤データを不正差し替え 田辺三菱、承認取り下げ

2009年3月24日17時26分

 血液製剤アルブミンの承認申請にあたって試験データを不正に差し替えていたとして、田辺三菱製薬大阪市、葉山夏樹社長)は24日、厚生労働省に承認取り下げを届け出た。製品は自主回収する。同社によると、昨年5月に発売以降、約800人に使用されたが、健康被害の報告もないという。

 承認を取り下げるのは、同社と連結子会社「バイファ」(北海道千歳市)が共同開発した遺伝子組み換え人血清アルブミン製剤「メドウェイ注5%」。
バイファ社などによると昨年暮れ、同製品の有効期間を延長する申請手続きを準備中、「試験データの差し替えがあった」と社内報告があった。内部調査をしたところ、製造販売承認申請のため提出した試験データでも、一部のデータが差し替えられていたことが確認された。このデータは、ラットを使った急性のアレルギー反応を調べる試験で、データの差し替えには品質管理責任者を含め計5人の職員がかかわっていたとみて、調べを進めている。

 データ差し替えを受けて両社は、07年10月に受けた承認を取り下げることを決めた。昨年5月の発売以後、副作用などを注意深くみるため投与患者を把握して調査していた。両社は、同時期に承認を受けて製造販売していた「メドウェイ注25%」も自主回収する。

 厚労省によると、試験データの差し替えを理由に、製薬会社が製造販売承認を取り下げるのは極めて異例という。

ことの是非と言う意味では、製薬会社の対応には明らかに問題があった。この田辺三菱製薬と言う会社の前身は、薬害エイズ事件や薬害肝炎の一件に深く関与した血液製剤の大手”ミドリ十字”である。ということで、朝日新聞では、ろくに確認もせずにこの見出しをつけたのかもしれない。

遺伝子組換え技術で作られた製剤は、血漿に含まれるアルブミンと同等の成分を含んではいても、ヒトの血液を原材料としていない以上、血液製剤と呼ぶのは明らかな誤りだ。

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