原因はストレスねぇ。私は年の割に激しい白髪だが・・・。

白髪の原因はストレス…東京医科歯科大教授ら突き止める

 髪の毛が白くなるのは、黒髪のもとになる色素幹細胞がストレスで枯渇するのが原因であることを、東京医科歯科大の西村栄美教授らが突き止めた。

 色素幹細胞の働きを維持することで、白髪の予防も可能になると期待される。科学誌セルの最新号に発表された。

 色素幹細胞は毛根部にあり、自己複製を繰り返しながら色素になる細胞を供給している。西村教授らがマウスに放射線を当て、遺伝子を損傷するようなストレスを与えたところ、幹細胞は自己複製機能を失い、すべて色素の細胞に分化した。色素の細胞のもとになる幹細胞がなくなるため、白髪化が進むことが分かった。

 西村教授は「白髪の原因になるような幹細胞の分化は、他の老化現象でも起きている可能性がある。若さを保つ研究の手掛かりになる」と話している。

(2009年6月13日08時04分  読売新聞)
オリジナルの論文はこちら

Ken Inomata et al., “Genotoxic Stress Abrogates Renewal of Melanocyte Stem Cells by Triggering Their Differentiation,” Cell 137, no. 6 (June 2009): 1088-1099, doi:10.1016/j.cell.2009.03.037.   

そうかぁー白髪の原因はストレスだったのか。納得。・・・という話ではない。

記事を読めば、見出しがいかに不適切かが良くわかる。この論文で発見されたことは、次の通り。

"Surprisingly, the DNA-damage response triggers MSC differentiation into mature melanocytes in the niche, rather than inducing their apoptosis or senescence. The resulting MSC depletion leads to irreversible hair graying." 
(驚いたことに、DNAの損傷に関連した反応はその場所で色素幹細胞のアポトーシスや老化の誘導よりも、成熟した色素細胞への分化を引き起こした。その結果、色素幹細胞は枯渇して不可逆的に白髪になる)

つまり、”白髪の原因は色素幹細胞の分化促進による枯渇”である、とある。これまでも加齢によって色素幹細胞が枯渇して白髪になることはわかっていたし、何らかのストレスで白髪になることもわかっていた。

この研究で新たにわかったことは、「ストレスで白髪になる際の色素幹細胞の枯渇は、細胞死や老化ではなく、分裂能力のない色素細胞への分化の促進でおきる」という点だ。

新聞記事の本文でもそう読める。しかし、この見出しのセンスは一体・・・

「桶屋が儲かる原因は風」と言っている様なものだ。

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