トムラウシで遭難事件 −気象条件の判断がキーか−

私がトムラウシに登頂したのは、過去2回。もう20年ほど前になる。

トムラウシはアプローチが長い山だ。南からの沢登りであればトムラウシ温泉から2日だったか。こちらはそれほどでもない。北から白雲岳経由であれば、白雲小屋で一泊、ヒサゴ沼で一泊しても、1日の行動時間は6時間を越えるだろうか。天候がよければ何もいうことは無いほど快適な尾根上の縦走路だが、天候が悪いと待避所が全くと言っていいほど無い。

それだけに天候の予測が安全な山行の要だ。しかし、この季節に1日で10人遭難死(1名は美瑛岳)というのはかなり異常な事態だ。

大雪山系遭難、中高年ツアー客ら10人死亡

 北海道・大雪山系トムラウシ山(2141メートル)と美瑛(びえい)岳(2052メートル)で16日、悪天候のため登山客ら計2組24人が下山できなくなった遭難事故で、道警は17日未明から救助活動を開始した。

 トムラウシ山では18人のパーティーのうち8人が死亡したほか、1人で入山していた別の男性登山客が山頂付近で死亡しているのが、新たに見つかっ南西約15キロにある美瑛岳では、救助要請していた6人のパーティーのうち女性登山客が死亡。大雪山系での死者は10人となり、いずれも50〜60歳代だった。

 トムラウシ山では、夜明け前の17日午前4時前から、道警山岳救助隊や消防隊員ら約40人や、道警と自衛隊のヘリコプター計4機が順次、捜索を開山頂近くの北沼付近で男女計7人が見つかったが、4人は意識不明の状態だった。別の登山客は山の中腹の岩場などで動けなくなっているのが見つかり、それぞれヘリが登山口まで移送。救急車で病院に搬送された。

 また、美瑛岳で遭難した6人のパーティーのうち、死亡した兵庫県姫路市、尾上敦子さん(64)以外の5人は無事が確認された。

 16日は標高1500メートル付近で風雨が非常に強く、登頂を断念して引き返す登山客もいたという。帯広測候所の観測では、山系周辺は当時、推定風速20メートル以上の西風が吹いており、ふもと付近でも気温は10度前後まで冷え込んでいたため、道警は死因はいずれも低体温症とみられるとしている。

 トムラウシ山の18人のパーティーは、東京都内の旅行会社のツアー。愛知、広島、静岡、宮城などの50〜60歳代の男女15人が参加、13〜17日の日程で大雪山系を縦走する計画で、ガイド3人が同行。美瑛岳のツアーは茨城県つくば市の旅行会社が企画し、兵庫、埼玉の女性3人が参加。ガイド3人が同行していた。

(2009年7月17日15時10分  読売新聞)

1日のうちに複数のパーティーで散発的な事故が重なったのであれば、気象条件の急変が疑われるのだが、今回の件では一つのパーティーで8名亡くなったというのは何らかの判断ミスが疑われる。

朝日新聞の記事によると、


 ツアーを企画したアミューズトラベルの説明によると、まず女性1人が体温の低下で体調を崩し、ガイド1人とテントを張ってその場にとどまった。さらに4人が体調を崩し、テントで休むことにしたという。テントの外で男性1人が動けなくなっていた。


 残りの参加者9人は別のガイドとふもとを目指した。疲労から集団に追いつけない参加者もでて、集団はやがてばらばらになったという。このガイドは参加者2人を連れて下山し、その後、再び1人で山に入ったという。

とある。6人が動けなくなるまで行動したのは間違い。遠くからはるばるやってきて、日程にもあまり余裕が無かったので天候観測で1日待つということもできなかったのかもしれないが、ルートと参加者の特性をよく考えていなかったのだろうか。

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