水稲の生育モデルを探している。

SIMRIW: Horie et al. 1987
ORYZA1: Kropff et al. 1994

あたりが有名どころかと思ったら、改良版にあたるORYZA 1N(Aggarwal et al. 1997. リンク先の論文はSwine et al. 2006. DOI: 10.2134/agronj2006.0204)というものもあるようだ。この分野は全くの素人なので、論文のIntroductionが只で読めるのはありがたい。

で、生育モデルを使って何をしたいのかというと、通常の生育モデルの使い方はあてがわれた環境で、どのくらいの期間にどのくらいの生育ステージに達し、収量がどのくらいの水準に達するかを予想することだが、私が必要に迫られているのはその逆。

移植後の生育期間を110日として、温度環境、光環境をどのように制御すれば、最低どのくらいの収量水準を達成できるか、という”納期”と”仕様”に合わせて栽培環境を制御するのに生育モデルを役だてたいと考えている。

・・・そこまで私の仕事の範囲なのかどうかは疑問なのだが、いずれは、1年のうちの決められた時期にイネを温室栽培する際に”光熱費”と”収量”のバランス、要は栽培のコストパフォーマンスを最適化するための科学的な根拠が必要とされるだろうから、計画的な栽培には、この手のシミュレーションができるに超したことはない。

もっとも、あんまりモデルが複雑になってパラメーターが多くなると、実測データを取るのが大変で、かえって実用性がなくなるから多少予測精度が落ちても簡便なモデルの方が良いかもしれない。ORYZA 1NのようにLAIや乾物生産量のデータを取らなければならないのでは、栽培の片手間でやるにはちょっと荷が重い。

# 妄想ですが、RILs集団の各系統を、この種の生育モデルに当てはめて、系統の固有値として得られるパラメータのQTLマッピングができると、感光性、基本栄養成長性etc.といったイネの基本的な生育特性を表すパラメーターを同時にマッピングできたりしてね。

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