今日、東大河岡先生から高病原性トリインフルエンザなどインフルエンザを中心とする新興感染症についてのお話を伺った。
 スペイン風邪など、極端に病原性の高いインフルエンザウイルスの遺伝子組換え実験は、現状では国内ないではやれないので、カナダまで行ってBSL4の実験室で”宇宙服”もどきの被り物をしてしているとのこと。あまりに不自由ではあるが、日本でのP4実験室の扱いは”ごみ処分場”と同じ理屈で、必要ではあっても誰も来てほしくは無いという有様なので、なかなか難しい。
 感染研の使用差し止め訴訟のことを思い出してしまった。

 それはさておき、インフルエンザウイルスの感染の組織特異性を決めている要因についてお尋ねしたところ「インフルエンザの増殖には、細胞表面のHAタンパク質が開裂する必要がある。その際に細胞のプロテアーゼが働いていて、組織によってプロテアーゼの基質特異性が違うので、HAタンパクが分解される場合にのみ増殖が起こる。」とのことでした。

 感染すると必ず再増殖がおこるのであれば組織のレベルでは、増殖と感染は一緒に考えてよいのでしょうが、細胞のレベルで見るとHAタンパクの開裂は感染に必要ではあるが細胞内でのウイルスの増殖には必須で無いように思います。いずれにしても、HAタンパクがどの細胞でも容易に開裂するウイルスは全身感染するということのようで、インフルエンザには特異的な感染受容体は無いということです。

 ならば、インフルエンザウイルスはどうやって細胞に取り付き、どうやって進入するのだろう?また、不顕在感染する場合の毒性の強弱は何で決まっているのだろう?知識が増えると同時に、疑問も増えてしまった・・・。