新潟・長野北部が大地震を大地震が襲った。被害に遭われた方にはまずお見舞い申し上げます。
新潟県庁には前回の教訓を生かした迅速な対応を望みます。

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さて、先週だったか、朝日新聞の"be"に、食べた藻類の葉緑体光合成をするウミウシの話がさらりと書いてあった(久保君申し訳ない。出典は理系白書blogでは無かった)。私はその話を聞いたことがなかったので、ホントかいなと疑いつつ、googleで”光合成 ウミウシ”で調べてみると、結構出ている。

記事の中に出てきたカタカナの学名(エリシア・クロロティカ)を頼りに、綴りを想像しつつ”Elysia chlorotica”で検索すると749件ある。どうもこれらしい。

次に、PubMedで”Elysia chlorotica”を調べてみると、8件ある。Green et al. (2000)の文献リストを手繰ってみると、古くは1979から知られていたらしい。ウミウシの専門家には有名でも、植物の研究者には意外と知られてないのではないか。

関連の文献を眺めてみると、藻類の葉緑体のタンパク質の一部はウミウシの細胞に取り込まれた後で起きる(Pierce et al. 1996)、とか、葉緑体の遺伝子発現が細胞内での共生中に起きる(Mujeret al. 1996)、とか、何ヶ月もの共生中には光合成も、チラコイド膜タンパクの維持も、葉緑体の遺伝子発現も維持されるんだよ(Green et al.2000)など、非常に興味深い話題に充ち満ちている。

でも、核支配のタンパクの供給はいらないのかね?その辺はどうなってるんだろう。それから、googleで”光合成 ウミウシ”で調べて出てくるのは”Elysia chlorotica”だけではないし、日本近海にも光合成をするウミウシがいる様なので、おそらく、

     
  1. ウミウシが藻類の葉緑体を利用する様になったというイベントは、ウミウシの進化の途上で独立に発生した可能性がある。
     
  2.  
  3. 地理的に独立に共生が見られるのであれば、ウミウシの食藻は”Elysia chlorotica
      の食べる”Vaucheria litorea (C. Agardh)”以外にもあるはず。
      何か細胞内で長生きする葉緑体に共通の特性があるかもしれない。

等、色々想像してしまいます。また、まさかとは思うが、藻類のゲノムがウミウシに取り込まれるなんて事が起きてはいないだろうか?
この先楽しみな研究分野である。

なお、この分野、名古屋大の小保方先生が研究に着手される模様。