独法統合?

朝のNHKニュースでも以下の新聞記事と同様の報道。以下、日本経済新聞より。

農水省、2独法を統合で調整


 農林水産省は12日、所管する独立行政法人のうち、
農業環境技術研究所農業生物資源研究所を来年度に統合する方向で調整に入った。両研究所は基礎研究を主な業務としており、
統合によって効率化が見込めると判断。週内にも若林正俊農相が渡辺喜美行政改革担当相と会談して表明する見込み。

 独立行政法人の改革を巡り、両大臣は4日、農水省内で会談。
渡辺行革相は両研究所を含む農水省所管の6法人を統合するよう求めたが、若林農相は「それぞれ(研究の)性質が違う。乱暴な話だ」
として拒否していた。一方で「研究の効率を上げながら年々努力していかなければならない」とも語り、
独立行政法人改革に取り組む姿勢を強調していた。(13:06)

あれっ?こっちと統合なの?というのが正直な感想。朝、起きたばかりで聞いたニュースなので”寝耳に水”
でもなかったが。

ミッションの違う独法をくっつけると機関の評価が物凄く難しくなる。すでに巨大化してしまった”
独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)”がいい例だ。農業研究機関も、農業者大学校も、
資金配分団体である旧生研機構もくっついて、鵺のようになっている。当然中期目標も中期計画もセクションごとにばらばら。
評価の尺度はあって無いようなものだ。

今回、仮に農業生物資源研究所農業環境技術研究所が統合しても、職員数は総勢600人弱。
総勢3,000人ほどの農研機構よりは相当にコンパクトだ。組織運営の機動力と言う点では、農研機構と統合する場合と比較して、
それほどのデメリットはなさそうだ。だが、研究の守備範囲は、農業気象、雑草管理、昆虫分類、大気環境、土壌環境など環境科学分野と、植物、
動物、昆虫のバイオテクノロジー+遺伝資源となると、基礎的研究と言う点以外には、あまり共通点は無い。このような組織を統合しても、
研究機材の共通性もあまり無いし圃場の使用効率もそれほど上がらないので、運営費の効率化と言う点ではシナジー効果はかなり限定的だろう
(建物はもともと同じビルだし)。従って、メリットはほとんど無い。

生物研は、100万円以上の調達が一般競争入札が原則になったおかげで、事務方はパンク寸前だが、
スタッフが増えたとしても、ここに農環研の業務が上乗せされるとどんな有様になるのか・・・かなり心配ではある。

一方、複雑化したミッションの達成度の評価をどうするのか?どう運営するのか?
管理職のコミットする内部統制をどうするのか、など問題はなかなか幅広く、しかも深い。

この統合案でも、総務省の要請とはまだ開きがある。ここが落としどころになるか、もう一幕あるのか、
年内の時間は限られている。1月国会の予算案提出までに間に合わせられないと、次年度の統合のための予算措置が危ぶまれる。
あと2週間ほどで決着がつくのだろう。

昨年度から新中期計画・中期目標でスタートしたばかりなのに、組織を統合するとまた中期計画の改定作業がある。
そんな事務仕事にエネルギーを割かれると肝心の研究活動が停滞するのではないかと、これも結構心配だ。本音を言えば、今回の中期目標・
中期計画の策定はホチキスで止めておいて欲しい。

数合わせにしかならない組織の統合のために、肝心の事務事業に支障を来たすことがあってはならないのだから。

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