照柿色の車

先週、車を代えた。照柿(てりがき)色のデュアリスに。

#メーカーでは、レディッシュカッパーとかFired Ironと呼んでいる色だ。

前に乗っていたのは、二代目プリメーラのバリエーションで銀鼠色のプリメーラ・カミノ・ワゴン。
熊本県に居たときに日産の北九州工場製のを買った。当時まだ珍しかったCVTの変速の感触も気に入っていた。初代プリメーラは、
イギリスで設計されて一時逆輸入されていたハッチバック・モデルもあったという。

二代目も、初代よりは柔らかくなったものの、足回りがしっかりしているところは同様。
サスペンションが堅めなので路面の状況をよく伝えるのだが、その反面、細かな振動をよく拾う。結局、長時間運転すると疲れるとか、
ロードノイズがうるさくて大声でないと同乗者と会話できない、という困ったところがあった。

# 田舎に帰った折、父のクラウンやアリオンを運転させてもらうと、静粛性や乗り心地、加速感の違いには驚かされたものだった。ま、
クラウンと比べてはかわいそうだが。

プリメーラ・カミノ・ワゴンも燃費が悪くなってきてはいたが、動力性能は特に問題なかった。足回りも大丈夫。さらに、きちんと止まる。
だから、走る、曲がる、止まるは大丈夫。気に入ってはいたが、9年半目ともなるとあちこち痛んでくる。しかも、
つくばに住むようになって生活のスタイルが変わり、積載量の大きな車はもういらなくなった。

それから、よく揺れる車はやっぱり疲れるのだよね(年を取ってくると、長時間の揺れに耐えられなくなった)。
堅いサスペンションが好みでプリメーラを買ったくせに、我ながら勝手なものだ。

ということで、乗り心地・座り心地と、セダン・ワゴンよりも視点が高いこと(ここ数年、
めっきり多くなったミニバンの後ろに就いても信号が見える)、を重視してデュアリスを買った。これまた、設計、
部材の生産をイギリスで行って、日本に運び、北九州工場で製造(といってもノックダウン生産のようだが)。最初は、
イギリス東部のサンダーランド工場で生産していたのを輸入していたのだが、1月から国内生産に切り替えたのだとか。別に”外車”
がほしかった訳ではないので、どこで生産していてもかまわないのだが、サンダーランド工場は、欧州圏内向けのプリメーラの最終型
(彼の地ではアルメーラと呼んでいたらしい)を製造していた工場で、その後継として生産を始めたのがキャシュカイだとのことなので
(日本向けにはデュアリスと呼ぶ)、設計に英国車の発想が生かされていると言う点は共通しているのかもしれない。

窓ガラスにはPILKINGTONとイギリスのガラスメーカーの名前が書かれているが、
実はPILKINGTONは日本板硝子に買収されてその一ブランドになっていて、日本資本でイギリス生産。デュアリスは一種、グローバル・
カーと言っても良いだろう。

自動車評論家のように多くの車を運転したことがないので言えることは限られている。覚えている範囲では、
これまで運転したことがあるのは、コロナ、アリオン(借り物)、クラウン(借り物)、ブルーバード(レンタカー)、シルフィー(車検の代車)
、キューブ(車検の代車)、プリメーラ(3代目、サービスキャンペーンによる修理の代車)、プリメーラ
カミノ・ワゴン、タント(車検の代車)、ミニカ(車検の代車)、パレット(嫁さんの車)、くらい。どれもたいして個性的な車ではなかった。・
・・と言う経験をふまえて、デュアリスを見ると、しなやかな足回り(プリメーラのようにゴツゴツ言わない)、
包み込むようなフィット感の良いシート(座面の弾力が心地よい。メーカーは日本のタチエスらしい)、静かな車内とも、
私の要求には合っている。しかも、ミッションのCVTは10年前のものよりも格段に進歩しているし(発進時のもたつきが感じられない)、
パワステが軽い!(プリメーラのはスポーティーさを演出するためにステアリングの直径が小さく、操作感も重かった)というところは要求以上。

なんだかルノーっぽい車だと言われているらしいが、私はルノーを運転したことがないので何とも言えない。

一週間乗ってみて気づいた点。天井のグラスルーフの内張を開けると、車内の音をよく反射する。つまり、
ロードノイズが若干うるさくなる(カーオーディオの音も高音がよく響くようになる)。3ナンバーなのだがプリメーラよりも取り回しが楽!
全長が4.31mしかない。プリメーラ・ワゴンは4.51m。しかも、車体前後のオーバーハングが極短く車両感覚が把握しやすい。等々。
(ちなみに、車両総重量はプリメーラ・カミノ・ワゴンは1605kg、デュアリス4WD/20Gは1695kgで、90kg重い。)

デュアリスはオフロード向きの車ではないと言われるが、それはそうだろう。
本当にオフロード向きの車なんて数えるほどしかないのだから、それは何も言っていないに等しい。
レンジローバーランドクルーザーに敵うわけはない。

一方、オフロードでない道路状況はそれはそれで千差万別だ。舗装したてのなめらかな道路ばかりなら良いのだが、
つぎはぎだらけのデコボコの路面や、吹きさらしで砂埃が堆積しやすい路面、アスファルトが削れて埋め込まれた石が磨かれて、
がたがたになっている路面。自治体の修繕費用の乏しい田舎道の方が、おそらく路面は荒れているだろう。

デュアリスは、メーカも評論家も”都会向きの車”だと考えているらしい。カタログもCMもそんなイメージを全面に出している。しかし、
私は、デュアリスの特徴は、足回りにしてもシートにしても、道路の補修もろくにできない田舎でこそ能力を発揮するところにあると思う。
その証拠に、ロシアでもよく売れているし
日産は中国での販売も考えている。両国とも、道路の整備状況はあまり良くはないだろう。

一方、日本では都市生活者の方が多いので、”田舎向きの車”を全面に出しても、メーカーはあまり売れないと考えているのだろう。
しかし、実際は地方都市でこそよく売れているのではないだろうか?公共交通網の整備された大都市では車は贅沢品だ。地方には、
セダンやミニバンでは腹をすりそうな道路は結構あるのだから。

# パワードスーツが農道を駆け抜けて、畑で農作業しているCMなんてどうだろうか。

 

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