”めたぼ”なニッポンの私

読売新聞より。

私も、血圧130/85mmHg以上(時折)、腹囲90cm以上(大抵)、中性脂肪150mg/dL以上(・・・のことがあった)
ので、じきに”メタボ”仲間入りの可能性が高い。


メタボ「知っている」87%…食育に関する意識調査

でも「食事・運動」継続3割止まり

 内閣府は3日、「食育に関する意識調査」の結果を発表した。「メタボリックシンドローム」(内臓脂肪症候群)について、
意味まで知っていた人の割合は87・6%で、2007年3月の前回調査から10・3ポイント増加し、
政府が06年に策定した食育推進基本計画で、8割以上に周知するという数値目標を初めて上回った。

 調査は、全国の成人男女3000人を対象に2〜3月に実施し、1745人から回答を得た。有効回収率は58・2%だった。

 認知度アップの背景には、健康志向の高まりや4月から40〜74歳を対象とする「特定健診・保健指導」(メタボ健診)
制度がスタートしたことなどがあると見られる。ただ、メタボリックシンドロームの予防・改善のための食事や運動について、
「半年以上継続している」と回答した人は30・3%にとどまった。

 食生活に関する悩みや不安を感じている人は44・3%で、不安の内訳は「食品の安全性」が81・0%と最も高く、続いて
「家族の健康」50・7%、「自分の健康」46・4%の順だった。

(2008年5月4日

  読売新聞)


メタボってなんの略?もちろんメタボロームの略語だよね、という現実逃避はさておき、このアンケートってどうなんだろう。
メタボ=メタボリックシンドローム=「内臓脂肪症候群」、概念・定義に関する公的な文書がなかなか見つからない。
愛知県の文書はこちら
・・て文書の表題にだまされてリンクを張っちゃいましたが、診断基準とその帰結については書いてあるが、よく見ると定義されていない。

この診断基準に当てはまる人はメタボだ、と言ってるだけのことだ。実際Wikipediaを見ても、
複数の診断基準がある
。いずれかの診断基準に従って、医師が「あなたはメタボリックシンドロームです」
という診断をくだすのと、「おまえは病的なデブだ」というレッテルを貼るのとでどう違うというのだろう。まったく失礼な話だ。

しかも、厚労省の推計では、メタボリックシンドロームおよびその予備軍にあたる40-74歳の人は2千万人居るという。国民の14%
以上にあたる。成人人口に占める割合は20%を超えるのではないだろうか。医療費削減の観点から、成人の5人に一人を「病的なデブ」
と決めつけて、健康診断の際にチェックし、「特定保健指導」を行ない、
5年後にも改善が見られない場合は健康保険者に財政的なペナルティーを課すとしているのだ。
2千万人が医師の指導を受けに病院に行くのか?これでは、”メタボ外来”を設けて担当医(通称”デブ専”とか)をおかないといけない。
ただでさえ医師不足と言われているのに、この上仕事を増やしてどうしようと言うのだろう。

脱線してしまった。ええっと、この記事を読んで言いたかったことは、アンケートの結果「メタボリックシンドローム」(内臓脂肪症候群
について、意味まで知っていた人の割合は87・6%」というのは事実だとして、その87.6%
の人が本当にメタボリックシンドロームの意味を本当に正しく理解しているかと言う点ではかなりあやしいということだ
内閣府の行ったアンケートはこちら


(資料3を提示して、調査対象者によく読んでもらってから、以下の質問を行う。)

〔資料3〕

 内臓脂肪症候群メタボリックシンドローム)とは、「内臓脂肪が蓄積することによって、血圧、血糖が高くなったり、
血中の脂質異常をおこしたりして、食事や運動などの生活習慣を改善しなければ、心筋梗塞脳卒中などが起こりやすくなる状態」
のことです。

Q5〔回答票7〕 あなたは、メタボリックシンドローム内臓脂肪症候群
という言葉やその意味を知っていましたか。この中から1つだけお答えください。

(47.4) (ア) 言葉も意味も良く知っていた

(29.9) (イ) 言葉も知っていたし、意味も大体知っていた

(10.5) (ウ) 言葉は知っていたが、意味はあまり知らなかった

(3.9) (エ) 言葉は知っていたが、意味は知らなかった

(8.2) (オ) 言葉も意味も知らなかった

どう思います?私は、これは誘導尋問というのではないかと思います。しかも、メタボリックシンドロームの診断基準には
「内臓脂肪が蓄積することによって」という条件はない。MRIかCTでもなけりゃ診断できないから。この設問における
メタボリックシンドローム」と言う言葉は、学会などで使われているものとは違っている。

その曖昧な使われ方をした「メタボリックシンドローム」に関して、調査の結果「意味を知っている」と言う回答が得られた訳だが、
本当に意味を知っているという人の割合はこの調査ではわからない。結局の所、この調査では「太りすぎは体に良くないと知っていますか?」
と聞いたら、9割弱の人は知っていた、と言う程度のことがわかったに過ぎない。

設問を考えた方とそれをチェックして実施させた内閣府の担当者は「メタボリックシンドローム」についてきちんと知っておくべきでしょう。
おそらく、そこの理解が浅いためにこのような設問になったのだと思います。

# 内閣府の方、気にしないでください。どうせデブのひがみです。




ちなみに、個人的には、施策の目的が国民の健康の維持向上ではなく医療費削減であるならば、
心血管疾患のリスクファクターを診断基準に含めるのは反対です。調査研究の論文が出ていますが、肥満した人が心疾患で死亡するケースではそれほど医療費はかからないのですから
(さっさと死んじゃうということかもしれませんが)、施策の合理性に問題があります。


ヒトは何らかの理由で必ず死にます。循環器障害による死亡率を下げると、おそらく、がんによる死亡率が上がるだけの話です。
どちらの方がより医療費がかかるかを考えると、心筋梗塞や脳溢血でポックリ逝った方が安上がりなのは間違いありません。また、
最近評判の悪い呼び名「後期高齢者」になる前に死ぬのであれば、もっと安上がりです。そんなに医療費を削減したいのであれば、
さっさと死んじゃうという選択を妨げるべきではありません(もちろん極論ではありますが)。

私なら、がんで高額の医療負担に耐えながら長期療養するよりも、心筋梗塞の方がありがたいです。ちなみに、私の父も、
兄も脳梗塞でたおれていますので、この場合はそうそうポックリとは逝けず、長期の在宅リハビリを強いられるので、
本人にとってもありがたく無い。残念ながら、どちらかを選ぶと言うわけにはいかないのですが。

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