本日の見学対応は高校生。高校生への対応は初めてでした。

  • クラウンゴールって何?
  • クラウンゴールって植物には悪いものなの?
  • ベクターってどういう意味?
  • 安全性に問題が無いのなら何で「遺伝子組換え大豆は使っていません」って書いてるの?

 クラウンゴールと言うのはアグロバクテリウム・チュメファシエンスという細菌が植物に感染した際に作る、いわば植物のがんです。
 動物のがんと同じように、植物にとっては都合が悪いものです。

 ベクターとは「運びや」という意味のもの。遺伝子を植物細胞に運ぶ役割を持ったDNAの切れ端です。最低限、細菌の細胞の中でDNAを複製させる複製開始点さえあればベクターであると言えます。

 えー、最後の質問はちょっと答えにくい。表示の問題は、消費者の選択の自由の問題であって、安全性の問題ではないのです。
 たとえばJAS法では原産国表示の規定がありますが、どこの国の産物かと言うことと安全性には直接関係はありません。たとえば、中国産ウナギを国産と偽って売ってたのがニュースになりましたが、それは安全性の問題ではありません。中国で生産したと言うだけで、全部危険だと言うことにはなりません。中国の人も普通に中国産の食品を食べていますので。また、そもそも、食べて危険な製品は売ってはいけません。

 私は高校の授業のカリキュラムには疎いので、最近、高校でセントラルドグマを教えているのかどうか知りませんが、とりあえずその辺からレクチャーしないと遺伝子組換え技術を理解できません。

 しかし、考えてみると、50台の方の多くは遺伝子の機能や構造を学校で習ったことは無いかもしれない。40台でも、理系生物志望でないとセントラルドグマも知らないかもしれない。・・・そこを理解していない人に遺伝子組換え作物の作り方を説明するのはかなりの離れ業です。

 時折、”義務教育課程を終えた人にわかるように説明してくれ”というオーダーを頂きますが、まず理解の前提となる予備知識をつけておいて頂かないと、数十分のレクチャーで伝えられることは限られています。
 何でもかんでも短時間で理解できるようにしてくれ、と言うのは無理です。

 今日も、スギ花粉症緩和米のお話を、と言うオーダーでしたが、70分で遺伝子&遺伝子組換え&免疫系の仕組み&免疫寛容まで高校生に教えるのは私には無理でした。スミマセン。

 でもね、世の中分かりやすい物事ばかりじゃないんです。物事を理解するにはそれなりの素地が要ります。私も、知識の基盤が無いお話をされてもぜんぜんついていけませんから、そこは理解できるように勉強するか、潔くあきらめるかのどちらかです。

 消費者に理解できるように、という見学対応のオーダーは非常に困ります。”消費者”にも色々な知識水準の方がいらっしゃいますので、どのへんを想定すると良いのか非常に苦しみます。逆に、高校の先生や大学生が相手だと楽ですね。どういう訳かその辺の見学対応は、私には余りまわってこないのですが・・・。

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