新聞にも採り上げられたようです。
GFP、YFPやDsREDなど蛍光タンパク質を含む絹糸のニュース。
http://www.nias.affrc.go.jp/press/20081024/ref3.html

下村さんのノーベル賞受賞のおかげで蛍光タンパク質に注目が集まっているおかげでしょうか。

実は、遺伝子組換えをしやすい系統は絹糸の品質が今ひとつ、逆に絹糸の品質の良い系統は遺伝子組換えがしにくいということは良くある・・・これは植物でもよくある話だ。ラウンドアップ・レディー・ダイズの場合もそうだった。

カイコの場合も遺伝子組換えをしやすい素材をベースに組換え体を作成して、交配で実用形質を持った系統に外来遺伝子を持ち込んでいる。

農林水産省のホームページでは遺伝子組換え技術のメリットを次のような図で説明している(画像は農水省のホームから引用しています)。


だが、実際はなかなかこの右の図のようにはいかない。どちらかといえば、左の図の”サングラス・トマト”に遺伝子組換えをして、従来の交配による育種の過程を経て実用的な品種を育成していることが多い。

世間では、遺伝子組換えで簡単に新品種ができるというようなイメージが流布しているようだが実際のところ、従来の育種技術との混合戦略の方が現実的だ。どんな優良品種でも完璧ではない。だから、交雑育種で様々な特性を改良しながら、なおかつ従来の技術ではどうしようもない限界を遺伝子組換え技術で克服していく、というのがモンサント等の先進的な種苗会社で行なわれている取り組みだ。

なお、イネの場合はむしろ例外的で、コシヒカリを含めて大抵の主力品種で遺伝子組換えができるようになった。関係者の努力の賜物、と言っていいだろう。もっとも、開発中の組換えイネを交配して、大規模な水田で系統の展開をしようとすると、隔離圃場栽培の規模も馬鹿にならないので、日本の社会的な背景においては上記のような混合戦略は現実的ではない、という事情もあるのだが。

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