毎日新聞より。野党各党が迷走気味。

労働者派遣法改正案:民主、国会提出を先送り 与党反撃懸念、4月以降に


 民主党は製造業への派遣を禁止する労働者派遣法改正案について、国会提出を当初想定の2月下旬よりも大幅に遅らせて4月以降にする方針を固め、共同提出を目指す社民、国民新両党に伝えた。

 「常用雇用は急激な景気の変化に対応しにくく、禁止すると今いる派遣労働者がいきなり失職する」との慎重論が与党や経済界にある。3月に製造業の派遣切りが相次ぐ「09年問題」がピークを迎えることが予想され、民主党案は製造業派遣禁止を「改正法施行後3年をめど」としているため直接は関係しないが、与党から「民主法案のせいで派遣切りが進んだ」との批判を受ける状況を懸念し、先送りした。

 民主党幹部は「与党が言いがかりで批判してくるのは目に見えている」と話す。当面は3党で雇用全般に関する勉強会を進め、3月に共同で法案作成に入る方針だ。【小山由宇】


毎日新聞 2009年2月8日 東京朝刊

 製造業の現場で、景気動向が不安定な時期に余剰労働力を出さないようにするにはどうしたら良いだろうか? この4年ほど、派遣労働者は雇用調整のバルブの役割を果たしてきた。

 派遣労働者の一方の対極が、常用雇用だと考えるのならそれは誤りだ。製造業への労働者の派遣を禁止すれば、2004年以前の雇用状況に近づくだけのことで、期間雇用の期限が切れる時期に景気が悪化すれば労働者が失業する事態に至るのは現状とそう変わらない。

 政治がセーフティーネットの整備に向かわずに労働者派遣法の改正で事足りると考えているのであれば、それは誤った判断だ。いわゆる「派遣切り」という言葉に踊らされているのではないだろうか。製造業への労働者派遣が禁止されれば、倒産する派遣会社もでるだろう。それは新たな失業問題を発生させるだけではないか?

 ソニー日産自動車も正社員のリストラに向かっている。雇用の問題は非正規労働者に限ったことではなくなりつつあるのだ。企業や公的部門が雇用を維持できるようにするか、それができなければ失職しても憲法の保障する生存権を確保するため、最低限の生活は維持できるようにするのが政治の役割だ。製造業への労働者の派遣がどうのと言うのは、長い目で見れば議論の値はあるにせよ、喫緊の課題ではないだろう。今後、失業者が増えるという見込みであれば、彼らが路頭に迷わないで済む様に手を打つべきだ。

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