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「花粉症に効くコメ」お蔵入り? 商品化に企業二の足

2009年2月28日14時5分

 花粉症の症状を和らげる遺伝子組み換え米の開発が、立ち往生している。背景には、このコメが厚生労働省から医薬品だと指摘されたことや、遺伝子組み換え技術への不安があるようだ。農林水産省補助金を出して後押ししてきたプロジェクトだが、お蔵入りする可能性も出てきた。

 花粉症緩和米は、アレルギーの原因となるスギ花粉に含まれるたんぱく質の遺伝子を、人工的にコメに組み込んだ新品種。コメを食べながら、徐々に体をアレルギーに慣れさせることで、症状緩和の効果が期待できるという。

 農水省は04〜07年度、独立行政法人農業生物資源研究所茨城県つくば市)と、日本製紙(東京)による研究プロジェクトに計6億7千万円を投じた。隔離農場で栽培し、ネズミやサルへの実験を続けてきた。その結果、普通のコメを食べたネズミと比べて緩和米を食べたネズミはくしゃみの回数が3分の1に減るという効果も確認された。

 農水省などは当初、健康にいい特定保健用食品として商品化する想定だった。しかし、厚労省は07年1月、「花粉症の原因物質の遺伝子をコメに組み込むことは治療目的そのもの」(監視指導・麻薬対策課)として医薬品として開発するよう指摘した。

 医薬品となると、ヒトへの臨床試験を繰り返し、効能や副作用の有無、服用する適量を厳密に調べる必要がある。さらに、新薬として認可を受けるには、ヒトへの臨床試験のノウハウをもつ製薬会社の協力が不可欠とされる。

 厚労省の指摘後、同研究所は共同開発する製薬会社を探したが、コメのような日用食品が医薬品の認可を受けた前例がなく、臨床試験には数十億円規模の費用も必要とあり、1社からも名乗りが上がらないという。

 このため、農水省は08年度、花粉症緩和米への補助金を凍結。同研究所は今年度、独自の予算で栽培を続けたが、09年度は栽培も一時休止。緩和米の玄米や種籾(たねもみ)を残し、パートナーが現れるのを待つ構えだ。

 農水省や研究所側には、国民的な病に効く技術開発で、遺伝子組み換え技術への消費者の不安を解消する狙いもあった。今回、製薬会社が二の足を踏んでいる背景にも、遺伝子組み換え食品が消費者に受け入れられる商品になるか見通せない、という企業判断があるとみている。

 同研究所遺伝子組換え研究推進室の田部井豊室長は「普及すれば、貢献できる技術という自負はあるが、まだ社会的に受け入れられる状況にない」と嘆く。実用化しなければ、つぎ込まれた公金が無駄になるだけに、同省農林水産技術会議事務局は「今後も実用化への努力を続けたい」としている。(歌野清一郎)

今のところ、種子庫(・・という蔵)で保管中だろうから、「お蔵」入りと言ってもあながち間違いではない。

・・・冗談はさておき。

新しくなければ研究ではない。しかし、新しすぎると誰もついて来られない。最先端の研究とは得てしてそういうものだ。

しかし、「実用化しなければ、つぎ込まれた公金が無駄になる」と言う議論の仕方は、研究開発には向かない。薬は”一将功なりて万骨枯る”と言う業界だ。治験に取り組んでも、副作用が強い、これまでの薬品と同程度かそれ以下しか効かない、コストがあわない等の理由で「お蔵入り」するものの方が遙かに多い。

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