嫁さんの書いた某機関紙の記事に「イネの場合、ジャポニカのウルチ性ではアミロースが一六〜二〇%含まれている1)」とあった。引用文献は、Nakagahra et al. (1986)。

・・・えーと、アジア産のジャポニカの遺伝資源を幅広くサーベイした論文で、その論文の前提となる材料に関しては、16-20%のアミロース含量だったというのは間違いではない。しかし、材料の範囲を限定していない状況で、「イネの場合、ジャポニカのウルチ性ではアミロースが一六〜二〇%含まれている」という言明は正しくない。

最近の日本の良食味米品種では、12-14%の品種も珍しくないのだから。・・・そう教えてあげたら逆ギレされた。「あなたが教えてくれた論文じゃない!」だって。

そりゃ、教えてあげましたとも。イネのアミロース含量を網羅的に調べた論文はないか、というから。OECDのイネの品質に関するコンセンサスドキュメントで引用されている論文だから、その材料の範囲では間違いのないデータなんだけどね、どういう文脈で引用するのかによって意味合いが変わってくるのは当たり前だ。まして、ジャポニカ全体についてなんて全数調査でもしなければ何も言えるはずはない。引用の仕方には十分気をつけよう。

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