北大獣医学部の喜田先生が読売新聞東京本社で講演したんですね。5/26読売新聞より。

北大・喜田教授「季節性インフルにも新型同様の対策を」

 新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)への対処方針見直しなどが進む中、北海道大の喜田宏教授(獣医微生物学)が22日、読売新聞東京本社内で講演した。

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一方、季節性インフルエンザの死者は、国内で毎年1万〜2万人、全世界では25万〜50万人とされる。「今回の混乱を見ていると<新型>という言葉のマジックにかけられている印象が強いが、新型だけを特別視するのではなく、犠牲者の多い季節性への対処法の充実が大事だ」と語った。

 具体的には、ウイルス全体を入れた「全粒子ワクチン」による予防強化を提示した。全粒子ワクチンは1971年まで使われていたが、副作用が問題となり、現在は安全性が高いHAワクチンが使用されている。しかしウイルスを除外したワクチンの効果には疑問が示されており、喜田教授は「ワクチンのメリットとデメリットを冷静に判断する時期に来ている」と、より効果的なワクチン準備の重要性を説いた。

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行政はリスクに応じた対応を、という意味では季節性インフルエンザに対する対応を手厚くするのが合理的だ。国内で年間1-2万人が亡くなっているのであれば、交通事故並のリスクだ。交通事故撲滅キャンペーンはあるがインフルエンザ撲滅キャンペーンは聞いたことがない(当たり前か)。新聞社も折角、勉強会を開いたのだから、こういう情報を社会に発信し続けてほしいものだ。

ワクチンの交差効果を期待するなら、あまり力価の高くないトリ・インフルエンザやブタ・インフルエンザの全粒子ワクチンで基礎免疫をつけておいて、シーズン・イン前にコンポーネント・ワクチンの追加接種というのは一つの方法かもしれません。しかし、特異性を期待して、特定の株の全粒子ワクチン一辺倒の生産をするとなると、国民の接種率を上げた場合、ワクチンの生産が追いつかなくなる恐れもあり・・・実施は難しいのでは?

UMNファーマのように高効率でコンポーネントワクチンを作る技術もできてきているので、こういう場合は使い分けが肝心かと。どのみち一回接種ではあまり予防効果は期待できないのだから。

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本日21時現在の新型インフルエンザ感染例は354名(成田検疫の8名を含む)。5/16のヒト-ヒト感染国内初確認から12日目。(本日のニュースソースは毎日新聞)

感染者数の差分が明らかに小さくなってきており、国内でのヒト-ヒト感染はほぼ終息した感じ。

# 共同通信によると364名(検疫段階含む)。

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