「安全性」は客観的に評価できるが、この世の中に絶対の安全は存在しない。

私は、「安心」かどうかは本人の気の持ちようだと思っていた。すくなくともこのニュースを目にするまでは。

新型インフル兵庫県が「安心宣言」

 兵庫県井戸敏三知事は3日午前、新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)について安心宣言を出した。
 県によると、神戸市を含む県内の感染者数は2日までに197人に上ったが、現在も症状があるのは2人。また、5月26日を最後に、高校生ルート以外の新たな感染も出ていないことなどから「安心して生活し、通常に活動できる状況にある」と判断した。

(2009年6月3日10時58分 読売新聞)

この兵庫県の対応と好対照なのは、米国、ニューヨーク市保険衛生局の対応だ。ちょっと抜粋してみる。

Q. インフルエンザについて多くのニュースを聞いて不安です。どうすればいいのでしょうか?
A. そのような不安は普通(正常)ですので心配いりません。しかし不安に耐えられない場合は助けが必要です。精神科の専門医に相談するか秘密厳守で24時間のホットライン−ライフネット(LifeNet)に電話しましょう。

安心か不安かは気の持ちよう一つと考えれば、病院で抗不安薬でも処方してもらえればとりあえず安心できるということかな?

日本では行政が「皆様の不安はごもっともです。ともあれ、不安に耐えられなければ精神科の専門医にご相談を・・・」なんて言おうものなら、発言内容の是非はともかく、激しいバッシングの嵐を巻き起こすことは想像に難くない。

ちなみに、英語版の文書では以下のようになっている。

Q. What if I feel anxious about the flu?
A. Some anxiety is normal. If you feel overwhelmed, help is available. You can call Lifenet, a 24 hour, 7-days-a-week crisis hotline.

米国では、このような不安に対して"help is available"といえば、暗黙のうちに精神科の専門医と相場が決まっているのだろうか?英語版には「精神科の専門医に相談するか」という表現はみられない。英語でも気の持ち様だと切って捨てると、やはりバッシングが起こる恐れがあるのだろうか。何で日本語版ではこういう表現(超訳?)になっているのかは謎。

しかも、「秘密厳守で」なんてどこにも書いていない。インフルエンザの不安を打ち明けるのに秘密厳守である必要もないと思うのだが・・・なんか変。

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