次の衆議院選挙のキーワードの一つは”地方分権のあり方”だろう。国政選挙の際に知事会の動向がこれほど注目されたことは、かつてなかったように思う。

国の権限や事業を予算とともに地方に移管して、地域ごとの事情や住民の意思に応じてに適正に配分できるように首長と議会に委ねるメリットは分かる。

群馬県のように中学3年までの子供の医療費を全面的に税で負担して無料化するという施策が広がるのであれば、それは喜ばしいことだ。

しかし、国の公共事業予算を地方に配分する際に予算執行が適正に行なわれているかどうかをチェックする体制は整っているのだろうか?地方に予算配分のフリーハンドを与えればそれで無駄遣いが減ると思うのは大きな過ちだ。

たとえば、空港事業で言えば、静岡空港茨城空港神戸空港・・・どうするのこれ?という様な事業が結構ある。その財源が地方交付税ではなく、地方自治体の独自財源になってしまえば会計検査院の目も届かない。地方議会が監視すれば・・・というが地方議会の議員の多くが地域の利益代表で構成される場合には誰にも止められない。

茨城空港の負担に関する茨城県庁のWebページを見ると、私は”日本国民”の一人として深い失望感にとらわれる。そのページにはこうある。

(2) 少ない県の負担割合
  一般の地方空港(地方管理空港)の整備の場合、空港設置者である地方公共団体の負担割合が1/2以上となるのに比べて、国が設置管理する茨城空港(共用空港)の場合は、基本施設の整備に要する費用の1/3を負担するのみで整備可能。

(3) 維持管理費は不要
  一般の地方空港(地方管理空港)の場合、空港の維持管理費は地方公共団体の負担となるのに比べて、国が設置管理する茨城空港(共用空港)の場合は、県の維持管理費の負担なし。

県税の投入は少ないという。それはそうだろう。自衛隊百里飛行場との共存なので国税が投入されるのだから。

しかし、そもそも、その空港は要るのか?公共交通のアクセスも良くないのに。

# 貨物専用国際空港として物流拠点も整備して、羽田や成田の混雑解消に貢献するというのなら分からなくは無いのだが。

国の公共事業費が減ったため、地方の建設業界は不景気だ。しかし、道州制導入後の地方行政で会計検査や行政監察の機能を強化しなければ、首長と議会が的確を欠いた投資判断をした場合、それを誰が監視するのか。

再び公共事業を地方に持ってくるべく、今回の地方分権ブームを仕掛けた知恵者がどこかに居るのではないかと勘繰ってしまう。

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