8月24日の毎日新聞にジャーナリストの原寿雄氏が寄稿している

私の読み方が間違っていなければ、「読者離れと広告離れによって今後経営が難しくなる新聞社に対して、新聞は他に代わるものが無く民主主義社会には不可欠であることから、新政権には金銭的な支援を求めたい」と書いているように読める。

以下、該当部分を抜粋。

”公器として権力の監視や社会正義の追求をはじめ公共的な情報をいち早く豊富に安価で提供してきた。恒常的で組織的な取材、調査・分析力。そして、特定の利害に左右されない道義性の高さを肩代わりできる媒体は、当面ほかに見当たらない。”

”欧米の政策を参考にした税制上の優遇や、教育文化政策の一環として、ジャーナリズムの社会的な重要性を学ぶためのカリキュラムを強化したり、義務教育が修了する15歳を機に新聞の1年間無料配布を検討してもいい。年500億円で足りよう。”

私の読解力が足りないのであれば、どうと言うことではないのだが、これって、”公器”としての新聞の自殺行為ではないか。経営が広告料収入をあてにし始めた時点で、企業に対する批判能力は削がれ始めていた訳だし、その上、政府の資金援助まであてにしてしまっては、経営に政府が介入する余地が生じる。中国の人民日報のようになりたいのだろうか。

新聞社では、経営からの編集の独立を謳っているが、それは、読者がそのお題目を信じている場合に限って有効である。読者の信を失ってからでは意味がないのだ。

ちなみに、企業経営が公的資金を注入されるようになると、一部の会社では従業員の賃金はカットされる可能性が高い。

# 某大手新聞社の平均賃金は国家公務員の2倍近くに上るという情報もあるにはあるが、真偽は定かではないので引用はしない。

まして、我が国の政府は、従業員(国家公務員)の賃金をカットしなければ経営が立ちゆかない状況にある。そこから支援を受けるまえに、やることがあるだろう。

まずは、株式を上場して市場から資金調達をしてはどうか。それで報道が偏向するというのなら、株式を公開しているテレビ局の報道は偏向していることになるし、海外の有名新聞社も一緒だ。もし、現状で経営からの編集の独立が十分に果たせていると言うのであれば、株式を上場しても何ら問題ないはずなのだから。

現状のような経営情報の開示では、公的支援の必要性を国民に説明ができないおそれがある。”欧米の政策を参考にした税制上の優遇”を受けたいのであれば、朝日新聞や読売新聞はグループの従業員が5,000人以上の大企業なのだから、当然、それに見合った経営情報の開示が前提になる。

単に私が新聞社の収支決算の情報を知らないだけかもしれないが、非上場の新聞社は収支決算を公開していない様に思う。その経営の安定化のために公的支援を行うのであれば、経営情報の開示の部分も”欧米の政策を参考に”するべきだ

# とはいえ、誰も投資してくれないと悲惨な有様になるのだけれど・・・。

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