族議員を生み出さず、立法府と行政府の分立を図るためにも、政官接触制限が必要なのではなかったっけ?

 しかも、与党政治家と官僚の緊密な接触が政府与党と野党の情報格差を生むのだ、と脱・官僚依存をつい先日まで説いていたのはどなたでしたっけ?

 これまでも公務員制度改革では政官接触制限が論議されており、民主党も賛成していたと思ったのだが。

 読売新聞より。

民主、謎の自称・政権移行チーム…戸惑う霞が関

 「鳩山政権」に向けた民主党と中央省庁との準備作業は、3日から官僚による党幹部への説明が“解禁”されたものの、手探り状態が続いている。

 ◆岡田幹事長、引き継ぎに不満にじます◆

 鳩山氏は2日に政権移行協議の「窓口」に岡田幹事長と直嶋政調会長を任命した。民主党が官僚からの説明を本格的に受け始めたのは、予算、外交、危機管理など、政権発足後に直面する課題の整理をしておく必要があるからだ。麻生内閣側では漆間巌官房副長官が3日の次官会議終了後の懇談会で、各省次官に「政権移行協議では民主党に協力するように」と指示した。

 早速、藪中三十二外務次官と河相周夫官房長が3日、民主党本部に岡田、直嶋両氏を訪ね、9月下旬から目白押しの外交日程などを説明した。

 ただ、岡田氏はこうした引き継ぎ作業に不満をにじませている。周辺に「新しい大臣が説明を受ければいい。協議は今日で終わりだ」と、これ以上、詳細な説明を受けることに消極姿勢を見せたという。岡田氏周辺は「自ら提唱した政権移行チーム構想が消え、へそを曲げてしまったのではないか」と心配顔だ。

 岡田氏の構想とは、代表当時の2005年8月に策定した「岡田政権500日プラン」に基づくものだ。円滑な政権の移行に向け、「『政権移行委員会』を発足させ、首相予定者、幹事長、副総理格、官房長官・副長官予定者等を招集」と明記している。鳩山氏も当初はこの手法に前向きと見られる発言をしていたが、衆院選民主党圧勝が決まると、「閣僚予定者」によるチーム作りを明確に否定した。

 ◆「鳩山命令、誰が…」霞が関の戸惑い◆

 ただ、その後、中堅議員を中心に、政権移行作業に関与しようとする「政権移行チーム」を自称するグループが複数現れ、霞が関の官僚たちを戸惑わせている。

 いずれのグループも4〜5人規模で、あるグループは3日、財務省を通じ、全省庁に09年度補正予算の執行状況を報告するよう求めた。別のグループは同じ日、都内でひそかに会合を開き、09年度補正予算の執行を全面停止することを決めたが、それがあたかも党の“方針”のように霞が関に伝わった。

 官僚たちは「誰が鳩山代表の命令を受けてやっているのか分からない」「小沢代表代行が認めなければ、決まらないのではないか」などと、各グループの動きに神経をとがらせ、党内の力関係の把握に力を注いでいる。

 ◆経産省出身者はずし?の動き◆

 衆院選での圧勝予測が強まったころから、政権公約マニフェスト)に盛り込まれた「国家戦略局」などの制度設計を描く中心人物だとして注目されてきたのは、松井孝治鈴木寛参院議員だ。両氏は経済産業省出身で省庁の内情に詳しいうえ、5月の民主党代表選などを通じ、鳩山氏の厚い信頼を得ていると見られているからだ。松井氏らが「政権移行チーム」に入るとの見方もあったが、政権移行チームが立ち消えとなり、“自称・政権移行チーム”には、経産省出身者を意識的に外そうとする動きさえ見られる。民主党には官僚出身の議員も多いことから、出身省庁別の議員の動きに、霞が関が一喜一憂する場面も見られる。

 ある総務官僚は「もう少し民主党内の力関係を見定めないと、どの議員を信頼していいか分からない。今あるチームは、猟官運動かもしれないし」と、戸惑いを隠せないでいる。(政治部 栗林喜高、松永宏朗)

(2009年9月4日08時39分  読売新聞)
 大臣、副大臣政務官など行政に対して直接せめを負う政治家以外は知り得ない行政情報というものもある。例えば、外交安全上の情報もそうだし、発表前の概算要求基準案だってそうだ。権限を与えられた立場の政治家でなければ勝手にアクセスしてはならないのだ。

 与党になったからと言って、党から任されたわけでもないのに勝手に官庁に指示を出したり、圧力をかけたりするのを認めてしまっては、民主党が新手の族議員を作り出すのに一役買ってしまったことになるだろう。

 じっとして待つのも嫌だろうし、現職の大臣は居るのだが積極的には動けず、新しい総理が決まるまでのこの宙ぶらりんな状態は、明らかに政治空白だ。だが、正統な権力の継承が終わるまでは待つほかないのだ。

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