穀物一粒の全窒素分析のできる装置についての調べものをしていて、SKCS硬度計(Single Kernel Characterization System)のデータとの関係を論じた論文を見つけた。

 コムギでは硬軟質性とPuroindoline-bの塩基配列レベルの遺伝子型の関係が明らかにされてきており、表現型としての硬さの選抜指標となる可能性が示されてきている

 一方、オオムギ醸造適性(焼酎用途)とSKCS硬度の範囲について業界からの要望があると聞くが、オオムギの育種現場にはまだSKCS高度計が普及していない現状にある。また、SKCS硬度に影響するQTL解析が行われており、Hordoindolinesとの関係が示唆されている(5Hのhina, hinbブロックの寄与率で22%。2002年の論文)、が、Hordoindolinesの塩基配列レベルでの遺伝子型とSKCS硬度の関係はまだ十分に明らかにされてはいない。

 Hordoindoline 遺伝子については、既にクローニングされ、塩基配列も決定されており(ただし、hinbのアミノ酸配列は硬軟質とも同一。hinaの発現と硬軟質の関係は対応しない。)、また広範なオオムギ遺伝資源を対象とした塩基配列レベルでのジェノタイピングも行われている(野生種も含む材料で解析している)が、こちらでは硬度との関係は検討されていない。

 これまでのところhinaの遺伝子型と硬軟質の関係は特に認められず、 hinbについてはアミノ酸配列の多型は認められず、発現レベルも硬軟質で変化がないことから、硬軟質との関係は無いと考えられている(2001年)。

 さて、どちらが本当か、まだ決定打はでないように思う。