試験方法のガイドライン素案

http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20070827#p3がニュースソース。畝山さんに感謝。(検索エンジンから来る方のために、表題には”み” を入れてみました。)

科学的な視点で、健康・栄養・安全・環境に関わる問題の解決および正しい理解の普及を目指すNPOILSIの国際食品バイオテクノロジー委員会タスクフォースが、いわゆる第2世代の遺伝子組換え作物(Genetically modified for output traitsと呼んでいる)の評価のための動物実験法のガイドライン素案を纏めた。

http://www.ilsi.org/NR/rdonlyres/D84A9349-AC08-4CA2-BAC8-B79EBE92FC41/0/OutPutTraitsFinalforWeb.pdf

これまで実用化された遺伝子組換え作物は、作物自体の生産性を高める形質が与えられてきたものだが、新しい世代の遺伝子組換え作物には、栄養組成を改善したものが含まれる。例えば、アミノ酸組成を改善した高リジントウモロコシなど。従って、動物の飼料にした場合、従来の飼料りも体重増加が早いなど、動物の成長にも影響することが期待される。

従来の遺伝子組換え作物の安全性評価では、国際的に遺伝子組換えでない作物と同等であることが評価の基準である。従って、新しい世代の遺伝子組換え作物のように、従来の作物よりも” 優れた”性能の作物は、従来の評価基準では正しく評価されない懸念がある。

例えば、こんな風に騒ぐ輩が出ないとも限らない。「遺伝子組換え高リジントウモロコシ飼料で鶏を飼育すると、従来の遺伝子組換えでないトウモロコシ飼料で飼育した場合に比較して、体重の増加に統計学的な有意差が見られた。これは、遺伝子組換えトウコロコシが家畜の健康に悪影響を及ぼし、異常な肥満を引き起こしたためである。」と。

栄養価の高い飼料を使って早く肥育したことが正しく評価されないことの方が問題なのは明らかだ。しかし、現行の遺伝子組換え作物の評価基準はそうはなっていないので、新しい世代の遺伝子組換え作物に対応した評価基準を提案する意味でこの素案がとりまとめられたのだろう。

折しも、栄養価を改善した遺伝子組換え作物についてのCODEX委員会(FAO/WHO合同食品規格コーデックス・バイオテクノロジー応用食品特別部会)の第7回会議が2007年9月24日(月)〜9月28日(金)、幕張メッセ国際会議場で開かれる。今回のILSIの素案は、具体性においてCODEXの内容を遙かに先取りしているが、やがて各国の評価基準策定の際には何らかのインパクトを与えることになるだろう。

ちなみに念のために申し添えると、ILSIの動物実験法のガイドライン素案は、遺伝子組換え作物の品質を評価するためのものであって、安全性試験(毒性試験)はスコープに入っていない。

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