Invitrogen のGateway systemは結構重宝らしい。

 ホームページのカタログを見ていると、Gateway systemを使った”酵母用の発現ベクターpYES2-DEST52というものもある。

 しかし、何ですね。出芽酵母では相同組換えで、ほぼ思い通りのベクターの構築がin vivoでやれてしまうので、何で酵母用発現ベクターGateway system版があるのか謎。あんまり売れない商品ではないかと思う。

 cDNAなどのエントリークローンをpYES2-DEST52に載せ換える場合は、最低でも概ね次のステップが必要。

  1. エントリークローンとpYES2-DEST52を混ぜてLR反応
    (数時間)
  2. 大腸菌に形質転換→コロニーピック→液体培養・プラスミド抽出(2日)
  3. 抽出したプラスミドで酵母を形質転換(コロニーが生えるまで2日)

概ね4日。一方、酵母の細胞内で組換えを起こさせる場合は、

  1. エントリークローンのPCR産物と制限酵素処理した発現ベクターを混ぜて形質転換(コロニーが生えるまで2日)

 で済む。エントリークローンをPCRする際のプライマーが長くなるのと、制限酵素処理したベクターを精製しないとバックグラウンドが高くなりがち(一工夫すればその必要はなくなる)なのが弱点だが、様々なプロジェクトの成果物として配布されている完全長cDNAクローンの多くがGatewayに対応していないことを考えるとPCR産物を直接発現ベクターに載せ換えられるメリットは大きいかも知れない。しかも、酵母の相同組換えの場合は、ccdB耐性のホストもクロナーゼも要らないのでランニングコストは低いしベクターの設計の自由度が高い。同様のことが、おそらく2-hybridでも言えるだろう。

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