うーん、どこに蛍光タンパク質が入ってるのかな、とおもいつつ晩飯に中国産ウナギの蒲焼きを食した。

 蛍光タンパク質が入っているといっても、遺伝子組換え生物に限った話ではない。もちろん、食べたのはウナギなのでオワンクラゲやサンゴでもない。

 実は、ウナギの筋肉には、もともと蛍光タンパク質が含まれている。鹿児島大学 水産学部教授 林征一 先生の研究テーマで、特許も出願されている(P2007−254371A)。

 このタンパク質はの詳細は特許明細にかかれているが、蛍光波長はEx. 450-490, Em. 500-550 (望ましくは527 nmなのでGFPよりちょっと長波長、EYFPとは一緒)、分子量16.5 kDaの単量体(これまで知られている蛍光タンパク質の中では相当に小さい)で、何より面白いのは日本種ウナギAnguilla japonica の筋肉に含まれている点だ。つまりGFPやDsRed等と違って、ヒトの食経験のある蛍光タンパク質ということになる。食品安全委員会の審査をパスしやすいタンパク質だ。

 しかも、脊椎動物由来の蛍光タンパク質というのは、まだ他には知られていない初めての発見ではないだろうか?

# ウナギ以外の魚類や両生類には無いのだろうか?

 これは遺伝子組換え植物の識別用マーカー遺伝子使えば、トレーサビリティーを確保する上で有効なツールになるかもしれない。

 しかし、特許明細を見た感じでは、まだ遺伝子がクローニングされていない様子。となると、自分で単離するのはしんどいなぁ。牛久沼で天然物を捕まえてきて、蛍光タンパク質を単離・精製して、N末の構造を決めてオリゴDNAを作って、RACEでcDNAを拾って、発現ベクターにクローニングして、大腸菌で発現させて蛍光を確認して・・・で、残ったウナギは焼いて食べる、と言うわけにも行かないだろうな。時間も金もかかるし、既に遺伝子についても特許申請されているし。
 遺伝子が取れてもご苦労さんと言われておしまいですね。

# なお、この情報は一般に広く公開されているものであり、職務上知り得た秘密には該当しません。

人気blogランキングへ←クリックしていただけますと筆者が喜びます!