東洋紡の耐熱性DNAポリメラーゼでKOD FKで出芽酵母のコロニーPCRをしてみた、というお話。

これまで同じく東洋紡のBlend Taq大腸菌酵母のコロニーPCRをしていました。大腸菌は問題が発生することはまずありませんでしたが、酵母は冷蔵庫で数日プレートを保存するとどうにもPCRがかからない、とか発現ベクターを入れてガラクトース培地で発現を誘導した際に弱い増殖阻害がおきる株では、なぜかコロニーPCRに失敗することが多い、と悩んでいたところ。

KOD FXのアプリケーションに酵母のコロニーPCR
寄せられていたのでZymolyase処理無しの方法を試してみたら、これまでにないくらい良く増えてびっくり。増幅率は、DNA断片の定量はしていませんが電気泳動像を見る限りでは、15-20 μLの反応系でPCRして2 μL泳動して増幅を確認、残りをPEG沈してシーケンスできるくらい良く増えていました。

あとはランニングコストの問題ですが、定価ベースでは20 μLのPCR1本で70円と、価格はちょっと高めなので(\35,000/10,000 μL反応ボリューム、研究所の調達価格はもっと安いけれども公表できない・・・)、用途を選びそうです。ここ一番、絶対に失敗はしたくないという場合につかいましょう。どこまで安定にスケールダウンできるかが検討課題ですが。

普通にPlasmidを抽出してPCRをすればまず失敗はないのですが、本数が多い場合には時間と試薬コストがコロニーPCRよりも高く付いてしまいます。そこでZymolyase処理で簡易抽出する方法もあるのですが、これは増殖期の酵母細胞壁には良く効くのですが、コロニーが古くなってくるとなかなかうまく分解してくれない。また、Zymolyaseもそう安くはない。

時間と手間、失敗のリスクを踏まえたコストを考えると、KOD FXで出芽酵母のコロニーPCRというのは現実的な選択です。

定価ベースで低コストなその他の製品には、島津のアンプダイレクトという製品があります。使用している酵素が普通のTaqなので、エラーはそこそこ入るはずですし、伸長速度はあまり速くなりません。形質転換の確認など、用途を選べばそれなりに使えるとは思います。
# が、KOD FXで良い。あんまり色々買って無駄にするのはいやなので。

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