朝日新聞では朝刊のトップ記事だった。8日に取りまとめ、公表なのでその後内閣府のホームページで確認するとよいのだが、主要農作物種子法の改正に関わる勧告が含まれているようだ。

記事には、地方分権委が見直し(この場合は廃止)を求める主な義務づけの一つに、次のようにあった。

[主要農作物の種子]
都道府県は、種子生産者が栽培中の米、麦、大豆の出穂状態や発芽の良否を審査し、証明書を交付

ちなみに主要農作物種子法には次のようにある。

(定義)

第二条

 この法律で「主要農作物」とは、稲、大麦、はだか麦、小麦及び大豆をいう。

2 この法律で「ほ場審査」とは、都道府県が、種子生産ほ場において栽培中の主要農作物の出穂、穂ぞろい、成熟状況等について審査することをいい、「生産物審査」とは、都道府県が、種子生産ほ場において生産された主要農作物の種子の発芽の良否、不良な種子及び異物の混入状況等について審査することをいう。
(略)
(ほ場審査証明書等の交付)

第五条

 都道府県は、ほ場審査又は生産物審査の結果、当該主要農作物又はその種子が前条第五項の都道府県が定める基準に適合すると認めるときは、当該請求者に対し、農林水産省令で定めるほ場審査証明書又は生産物審査証明書を交付しなければならない。

この優良な採取ほ場の審査制度は、思うに、自治体の指定する奨励品種等の制度とセットになって生産資材としての種子の品質を保証するのに一役買っているのではないか。性能の良い品種であっても、適正な生産プロセスで生産されて初めて、生産資材としての種子の能力を発揮する。証明書の交付は、それを保証するための一つの手段であろう。

この種子の生産プロセスに対する自治体の保証がなくなった場合、どうやって種子が品種としての性能を発揮できるようにしていくか?国による義務付けが外れれば、それに代替する仕組みが無い場合には、自治体が自らの責任と権限において同様の保証をするか、農協など集荷にあたる団体にその仕組みを肩代わりさせるか、何らかの方策が必要になるだろう。

あるいは、制度自体を廃止して外資による種子の独占を許すのか。

この制限の撤廃は、小さな出来事に見えるかもしれないが、やがてかなり大きな波及効果を持つかもしれない。

人気blogランキングへ←クリックしていただけますと筆者が喜びます!