主要農作物種子法の改正に関わる問題。地方分権推進委員会 第二次答申には次のようにある。

○主要農作物(米、麦、大豆)種子に係る審査・交付業務都道府県は、栽培中の主要農作物の成熟状況等を審査する「ほ場審査」及び生産段階における主要農作物種子の発芽良否等を審査する「生産物審査」を行い、証明書を交付することが義務付けられているが、生産後の種子の品質等の検査は民間事業者で行われており、園芸作物の種苗生産については都道府県の審査義務はなく民間事業者で適切な種苗生産が行われてることから、栽培中の主要農作物についてのみ都道府県の審査等を義務付ける必要性は低く、民間事業者で実施できるような仕組みとすべき。 全国知事会・追加分)

答申で不要とされた法律第4条の4,5については次のようにある。

第四条

 指定種子生産ほ場の経営者(以下「指定種子生産者」という。)は、その経営する指定種子生産ほ場についてほ場審査を受けなければならない。
(略)


 ほ場審査及び生産物審査(以下本条において「審査」という。)は、指定種子生産者の請求によつて行う。



 都道府県は、指定種子生産者から前項の請求があつたときは、当該職員に、審査をさせなければならない。


 審査の基準及び方法は、農林水産大臣が定める基準に準拠して都道府県が定める。

(略)

その一方で、第5条については、「地方自治体による事実証明(証明書、手帳交付)」は必要としている。法律第5条では

第五条

 都道府県は、ほ場審査又は生産物審査の結果、当該主要農作物又はその種子が前条第五項の都道府県が定める基準に適合すると認めるときは、当該請求者に対し、農林水産省令で定めるほ場審査証明書又は生産物審査証明書を交付しなければならない。

・・・県職員による審査はしない。審査の基準や方法は県は定めない。しかし、ほ場審査証明書又は生産物審査証明書は交付する、ということらしい。全国知事会によれば「生産後の種子の品質等の検査は民間事業者で行われており」とのことだが、現状が第4条に照らして違法だと認めておいて、政府にはその現状に合わせろと言う要望なのだろうか?主要農作物種子法施行規則にも、ほ場審査の委託に関する項目はないので、例外なく法律第4条の4に照らして”都道府県は、指定種子生産者から前項の請求があつたときは、当該職員に、審査をさせなければならないことになる。

また、全国知事会によれば「園芸作物の種苗生産については都道府県の審査義務はなく民間事業者で適切な種苗生産が行われてることから」とある。しかし、この議論は国民のエネルギー源としての食糧確保の観点から主要農作物を他の作物とわざわざ区別して品質管理するために設けられた主要農作物種子法の意味を理解していないのではないか。主要農作物の種子生産の仕組み自体が園芸作物と大きく異なること自体理解できていないように感じる。もしかしたら、証明書を発行する立場の都道府県は、種苗会社と同様に品質管理のために種子生産者と緊密におつきあいしたり指導したりする(それも独自の基準で)、ということなのだろうか。

主要農作物種子法の意味を理解していないのか、あるいは意味を理解していて挑戦しているのかについては、第5条に関わる証明書の交付の権限は留保したいという意図はあるので、種子の品質保証をするつもりはあって、挑戦する気ではなさそうだ。そうであるとすればますます全国知事会の意図がますます分からない。

面倒なのはイヤという我儘?

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