ちょっと故あって、中国の遺伝子組換え品種の開発状況を横目で眺めている。

参考にしたニュースソースは、”中国生物安全網”: 農業分野で利用されている遺伝子組換作物の栽培に関する許認可の状況等が記載されている。

中国種子網”: 作物種子の総合ポータルサイト。日本にはないかな?トップページのかなり目立つところに”转基因広告”(遺伝子組換えの広告)という欄があり、国内の遺伝子組換え作物に関する情報が色々記載されている。

ちなみに、"基因"(jīyīn)は遺伝子のこと。音がジーインという風に聞こえる。geneに近い。"基因"(zhuǎnjīyīn)はトランスジェニック(遺伝子組換え)である。

“转基因棉花技术工程中心”落户天津滨海新区」という見出しのニュースが2月3日付で出ている。字面から判断すると「遺伝子組換え綿花の技術開発センターが、天津の沿岸部の新しく開発中の地域に落成」ということらしい。これを見てみると、

中国では土壌病害である綿花の黄萎病(綿花癌症)が問題になっており、天津地区では栽培面積の80%で被害が見られ、そのため10%内外の減収になっている。中国が知的財産権を有するAt7遺伝子による黄萎病抵抗性や雄性不稔を利用した交配制御技術など多くの国際的にも先進的な技術によって、まもなく新しい品種が提供できるだろう。計画では、2015年までに、センターが3-5の知的財産権を持つ病害抵抗性の遺伝子組換え綿の種子を使って、10万ムー(面積)の種子生産基地を作り、その生産能力は1000万公斤に及ぶ。それによる農家の栽培面積は、1000万ムー、増収は30億元である。

大体こんなことが書いてある。面積と金額がピンと来ないのでGoogleの翻訳機能を使うと、1公斤=1キログラム(種子生産で1万トン)、1ムー()=6.67アール(1000万ムー=6,667km2)、1人民元=13.14円(30億元=39,426,994,348.8円。年間で約400億円の増収ですな)。

翻訳すると、2015年には、1万トンの綿の種子を6,667平方キロメートル(東京都の3倍強茨城県の110%ほど)の面積に蒔いて、年間400億円の増収を狙うという壮大な話である。それが全部、独自技術で開発された遺伝子組換え棉花だという。

ちなみに商業栽培の許可状況を”中国生物安全網”で見てみると、許可されているのは概ね棉花(抗虫棉)ばかり。国策として、工業製品原料から実用化を進めるということなのだろう。食糧輸出国でもあることだし、混入による回収騒動が起こると経済的なダメージが非常に大きいことから、その点のリスクも考えているのかも知れない。

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さてさて。我が国も今のところ、技術では決して負けてはいませんが、実用化段階では完全に遅れをとっております。まあ、彼の国とはGDPに占める農業の位置づけが全く違いますから、比較してもせんないことですが。

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