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久々にカルタヘナ法関連のネタです。
寄生虫を宿主とした遺伝子組換え実験を行っている人には結構影響が大きいかもしれない。
(居るのかな?)
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文部科学省が”遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物多様性の確保に関する法律”(カルタヘナ法)の研究開発に関わる第二種使用に関連した”研究開発等に係る省令に基づく告示”の改訂作業を行っている。
8/19から1ヶ月のパブコメ期間中だ。前回の改訂からほぼ1年。前回の積み残しは解消している模様。
# それはさておき、こんなにひっそり意見募集してるとなかなか気づかないよ。BCHのトップページの”お知らせ”にも出ていないし。→ どうよ。生命倫理・安全対策室の皆の衆。
改訂の主なポイントはこちら(PDF)。趣旨は、科学的知見が集積したので、それを踏まえたバージョンアップ。改正点は、
- 実験分類未定の生物をクラス2、3、4に追加
- 実験分類割り当て済みの微生物等について菌株ごとの見直しと学名の更新
具体的な改正点はこちら(PDF)。
私の見たところ、地味に影響が出そうな改訂ポイントは以下の通り(もちろん変更は他にもあります)。
- クラス1のウイルスのポジリスト廃止 → ”病原性がないもの”という括りでひとまとめ。
- 種名で細分化されていた細菌を、属でひとまとめ。
- 新規ウイルス、寄生虫等の追加
- Pseudomonas fluorescens biovar I MB101株及びその由来株をクラス1に引き下げ
- Salmonella属細菌の整理(血清型で分類し直し。特に、医薬品のAmes test標準株の一つTA1535株をクラス1に変更)
このうち4.、5.の変更は告示の読み方がわからないと判断できないところなので、別紙で説明を加えていただきたかったところ。
もう一点注文をつけさせていただくと(・・・まだあるんかい、と突っ込まれそうですが)、認定宿主ベクター系のPichia pastoris は、経産省の産業利用GILSPリストでは学名が"Komagataella pastoris"に変更され、Pichia pastoris の方がSynonymとして扱われています。Synonymなので、"Komagataella pastoris"に変えろとまでは言いませんが、同じ法律の下で、産業利用と研究開発では学名が違うというのはどうもいただけません。両名併記の方が良いでしょう。
ともあれ、生命倫理・安全対策室もカルタヘナ法対応のスタッフが手薄になっていると伺っております。その中での改訂作業ご苦労様です。
# パブコメの意見待ちの間はなんだか落ち着かないのだよね。
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