受託DNAシーケンスも、ちょっと前まで1パス\1,000位が相場だったが昨年から\700位になっていた。

で、今日教えてもらったのが、インビトロジェンのサービスで96穴1プレートでシーケンス反応からの受託で\46,000、サンプルあたり約\479(ただしキャンペーン価格)。インビトロジェンはダイターミネーターシーケンサーマトリックスの供給元であるABIを吸収したので、サービスで利益を出せば良いということだろうか。

日本の試薬の価格は国際比較では異常に高いのだが、受託シーケンスの価格がこの水準まで下がると、研究所で数千万円する中スループットのDNAシーケンサーを維持しておく必要性が低くなってしまう。

次世代シーケンサーはあまりに能力が高いので、どの程度普及するのか私は疑問に思っている。受託シーケンスを支える道具としては有効なのだが、普通の研究所で求められる要求性能を軽く超えてしまうので、大抵は手に余るのだ。しかも、シーケンサーが吐き出すデータ量は膨大でストレージ・ファームが要るくらいだし、アセンブルにはちょっとしたスパコンが要る。

それに対して、プラスミドを構築した際の確認作業等に使われる3100xl位のスループットシーケンサーは日常の業務ではまだまだ必要な装置なのだが、最近メーカーから更新機種が出ないなぁ、と思っていた。しかし、ここまで受託シーケンスの価格破壊がここまで進むと、1シーケンスの単価が普通に調達する際のシーケンス試薬+精製キットの代金とあまり変わらなくなるので、シーケンサー自体を維持する必要がなくなる。消耗品のキャピラリー、レーザー、バッファー、ポリマーなどのランニング・コスト+維持管理の人件費も勘案すれば、もう受託の方が安いかもしれない。

これは、ダイターミネーターの最後の一花なのだろうか? 今の蛍光シーケンサー用の試薬は製造を止めて売り切れ御免か? 近く、従来型のシーケンサーでワンパス\500といわず、次世代シーケンサーで、環状のテンプレートならカバレッジ80Xで\500という時代が来るのだろうか? ・・・等々いろいろ邪推してしまう。

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