昆虫培養細胞を使ったワクチン

マスコミ的にはあまり注目されていませんが実は画期的なニュースです。

子宮頸がん予防、国内初のワクチン発売

 子宮頸(けい)がんを予防する国内初のワクチンが22日、発売された。

 グラクソ・スミスクライン社の「サーバリックス」で、原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)のうち7割を占める2種類のウイルスによる感染を防げると期待される。

 全国約1100か所の医療機関で接種できる。対象は10歳以上の女性。医療機関には、若い女性や女の子を持つ親から問い合わせがあったが、全額自己負担で、3回の接種にワクチン代だけで3万6000円(税別)かかることもあって、初日に接種する人は少なかった。

 子宮頸がんは国内で年間1万人以上が発症し、3500人が死亡すると推定されている。
(2009年12月22日20時15分 読売新聞)

このCervarixというワクチン、実はイラクサギンウワバという蛾の細胞を使って、遺伝子組換えバキュロウイルスに生産させています(添付文書はこちら)。ニワトリの有精卵も哺乳動物の培養細胞も使っていないので、鶏卵アレルギーに対するアナフィラキシーのリスクもないし、哺乳動物由来のウイルス感染症のリスクもありません。また、昆虫培養細胞の方が有精卵よりも計画生産が容易なので新型インフルエンザのように緊急性のある生産にも適しています。

HPVはカプシド・タンパク質が自律的にシュードウイルス(ウイルス様粒子)を作るのでCervarixのようにウイルス様粒子を製造するのに好都合です。ただし、同じ技術を使ってもインフルエンザワクチンの場合には、おそらくコンポーネントワクチンにならざるを得ないので、生ワクチンや全粒子ワクチン等よりも副反応は少ないでしょうが、若干効果は劣らざるを得ないでしょう。