こんにゃくゼリーは危険ですか? 朝日新聞より。

こんにゃくゼリー「事故頻度、アメと同等」 食品安全委

2010年1月13日20時54分

 食品の窒息事故の危険性を議論している食品安全委員会のワーキンググループが13日開かれ、子どもや高齢者の死亡事故が相次ぐこんにゃく入りゼリーの窒息死亡事故の確率について、餅に次いで「アメと同程度の事故頻度がある」とする推測値を初めて公表した。

 一口あたりの事故頻度を摂取量などに応じて、食品ごとに試算。こんにゃく入りゼリーについては、その生産量と、内閣府が把握する死亡事故数をもとに試算した。

 その結果、1億人が一口食べたと仮定して最大で0.33人が窒息死の危険性がある計算になった。また、別の試算による事故頻度の推計では、こんにゃく入り以外も含めたゼリー全体の摂食量などから最大で5.9人となった。

 他の食品の試算では、事故頻度が高い順に、いずれも最大で餅7.6人▽アメ2.7人▽パン0.25人▽肉類0.15人などとなった。こんにゃく入りゼリーの事故頻度は、二つの試算から、餅とパンの間にあり、アメと同程度ということになった。

 同委は、今回の試算を踏まえ、こんにゃく入りゼリーを含めた窒息事故を引き起こす食品について事故防止策の提言などをまとめることにしている。内閣府によると、こんにゃく入りゼリーが原因の窒息死亡事故は過去13年間に22件報告されている。(小林未来)

 データも出ているし、見出しも”概ね”妥当。一方、読売新聞。

こんにゃく入りゼリー「窒息事故高い頻度」…食品安全委評価報告書

 子供の窒息事故が相次いだこんにゃく入りゼリーの危険性について、科学的データをもとに検討していた内閣府食品安全委員会の作業部会は13日、「(こんにゃく入りゼリーは)様々な食品の中でも餅に次いで窒息事故の頻度が高い」とする評価報告書を公表した。

 作業部会には小児科医や口腔(こうくう)学の専門家らが参加。こんにゃく入りゼリーを1億人が一口分ずつ食べた場合、死亡事故が発生する頻度(人数)を計算した結果、0・16〜0・33人で、餅(6・8〜7・6人)に比べると低いが、肉などより2倍以上高いことがわかった。物理的にも検証し、「一般のゼリーに比べて倍以上の硬さがあるうえ、冷やして食べると硬さが増してかみ切りにくくなり、のどに詰まりやすくなる」と指摘した。
(2010年1月14日 読売新聞)

・・・なんだいこれは?データをグラフにしてみるとこんな感じ。

これを、”アメと同程度”というのはどうなのよ?アメの1/8ですよ?

”肉などより2倍以上高い”というのは、まあ間違いではないけれど、じゃぁモチやアメはどうするのだ?ということになりはしないか?モチの指数の1/20以下ですから。

ちなみに、食安委の評価案が出る前に消費者庁は、

こんにゃくゼリー窒息事故防止へ 消費者庁が対策検討

 幼児や高齢者がこんにゃくゼリーをのどに詰まらせて死亡する事故を防ぐため、消費者庁は8日、庁内の「食品SOS対応プロジェクト」で安全対策を検討する方針を決めた。ゼリーがのどに詰まりにくくするために、大きさや形状、こんにゃく粉の含有量の規制なども視野に入れている。

 国民生活センターによると、こんにゃくゼリーによる窒息死は1995年以降、少なくとも22人に上る。飲み込む力の弱い幼児と高齢者に集中し、直近では2008年夏、兵庫県で当時1歳の男児が死亡した。

 こんにゃくゼリーは早くから対策の必要性が指摘されながら、安全性の向上に責任を持つ省庁がなかったため、行政の対応が後手に回った。消費者庁創設の契機となった象徴的懸案だけに、福島瑞穂・消費者担当相は同日の記者会見で「避けて通れない問題」と強調。個人的見解としたうえで「形状など、いろいろなものの改善も必要かもしれない」と述べた。(08日 23:02)

というアクションを執るのだそうである(日本経済新聞より)。

実際に、”大きさや形状、こんにゃく粉の含有量の規制”をするとなると、ルールを作ってあとは放置という訳にはいかないので、メーカーがそれを守っているかどうか監督官庁が定期検査なりの調査をすることになる。しかし、税金を投入してこんにゃくゼリーを規制することで、それによってどのくらい食品による窒息事故を減らせるのかよく考えていただきたい。ほとんど効果が上がらないことは明らかでしょう。消費者庁のプレゼンスを誇示するだけのためにそんなことをするのは税金の無駄遣いです。税を投入して規制をするならリスクに見合った対策をお願いします。