Transformation-Associated Recombination (TAR) もどきのクローニングを試みている。

 たまたまコンピテントセル(というかOD600を3.5-5にあわせただけの酵母培養液、BY5677株)があまったので、Ura3遺伝子の一部を仕込んだプライマーでPCRして線形化した自作のベクターと、選抜マーカーUra3遺伝子カセットのPCR産物を使って形質転換をしてみた。

 和光純薬の酵母形質転換キットプロトコルを見ると、濃度を調整した酵母培養液を”培地ごと”形質転換試薬およびプラスミドと混合するようになっていた。その昔、大腸菌の形質転換を習ったころは、できるだけDNAをきれいにしなさいと言われたものですが、酵母の場合は形質転換する細胞懸濁液に培地の成分が入っていても何とかなってしまうんですね。

 じゃぁ、いっその事、未精製のPCR産物でも支障なく形質転換できるんじゃない?と思って、コンピテントセルが残ったらそのうちやってみようと、未精製のベクターと未精製のPCR産物を取っておいた。効率は約5 kbpのベクターで約7.0 x 10^3 cfu/1ug DNAだったので、50 ng位のベクターバックボーンがあれば十分にベクターの構築ができる。

# しかも、QIAGENのカラムのようなPCR産物の精製キットを使わずに済むので、きわめて安上がり!

なお、形質転換キットのプロトコルでは1.0 x 10^5 cfu/1ug (pRS316)なので、それよりはかなり低い(1/10以下)が、TARもどきのクローニング相同組換えなので相同組換えを起こしたベクターを持った形質転換体しか生えてこない。通常の形質転換の場合は、細胞にベクターのDNAが入る確率で形質転換効率が決まるが、TARの場合は、細胞にベクターが入る確率 x 細胞にクローニングしたいDNA断片が入る確率 x 相同組換えが起こる確率で形質転換効率が決まる。・・・と考えると、今回の効率はそれほど低くは無い。

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