Rolling Circle Amplification (RCA) 産物で酵母の形質転換

世間ではインド、ムンバイ市でおきた同時多発的テロ事件のニュースが流れている。280人以上死傷(うち101人死亡)とのこと。大惨事だ。
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Ding et al. (2003)によれば、RCAで増幅したプラスミドの分枝状コンカテマーで酵母の形質転換が可能とのこと。Two-hybridにも使える。恐らく酵母菌体内での相同組換えで環状になるのだろう。
上手く使えば実験のスループットが少し上げられる。

現在の実験のスキーム

  1. PCR産物+線状ベクターバックボーンで酵母の形質転換。Transformation Associated Recombinationでベクターを構築。(2-3日間培養)
  2. プレート上のコロニーをグラスビーズで掻き取ってプラスミド抽出(液体培養から見ると抽出効率が悪い)。
  3. 大腸菌の形質転換(1日)
  4. コロニーPCRベクターの構築を確認
  5. コロニーを液体培養で増やす(1日)
  6. 液体培養からプラスミドを抽出してシーケンスの確認
  7. 目的のプラスミドで酵母の形質転換(1.とは異なる株)(2-3日)

全工程で足掛け2週間(1.の最初の形質転換を木曜か金曜に行うと楽しい月曜日を迎えられるので)。問題は3.のステップで、プラスミドの収量が少ないので形質転換大腸菌があまりとれてこない。とれたとぬか喜びしてたらフレームシフト変異が入っていて全部のクローンが使い物にならなかったということもある。
これが、

  1. PCR産物+線状ベクターバックボーンで酵母の形質転換。Transformation Associated Recombinationでベクターを構築。(2-3日間培養)
  2. プレート上のコロニーからDNAを簡易抽出して、安いTaqベクターの構築を確認
  3. 同じDNAをRCAで増幅(4hrs-1日)
  4. シーケンスの確認
  5. 目的のプラスミドで酵母の形質転換(1.とは異なる株)(2-3日)

という具合に、酵母のプラスミド抽出と大腸菌の形質転換のステップを省略できる。実験全体が早くなる上、ベンチタイムが非常に短いことも魅力的だ。

RCA用のキット(TempliPhi)だと1サンプル\470-\254(large constraction kitの場合)なので、コストもそれほどでもない。サンプル数にもよるが酵母のプラスミド抽出、大腸菌の形質転換とプラスミド抽出のコストで相殺されるのではないだろうか。大腸菌の形質転換自体の手間はたいしたことは無いのだけれど、廃棄物が結構出るし。

ただ、酵母のコンピテントセルの調製に一晩かかるので、シーケンスを確認しつつ、同時に次のコンピテントセルの調製を始めておかないとやっぱり1サイクル足掛け2週間かかる。
# 大腸菌のW株のようにむちゃくちゃ増殖が早い株ってないものだろうか。

phi29 DNA polymeraseを単体で買う場合は、
New England Biolabs (1,250U, \44,000)
AR Brown (10,000U, 価格不詳)
だが、exonuclease-resistant hexamerが別途必要。PNA-DNAハイブリッドのランダムヘキサマー等特注品になる?Dingらの論文でも使っているので、おとなしくTampliPhiを使った方が良いだろう。

このシステムを使うと酵母用の複製開始点を持ったベクターを線状にしておいて、大腸菌用のベクターRCA産物と一緒に形質転換すればコンストラクトの載せ換えも簡単にできるはずだ。今度やってみよう。

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